第33回山本周五郎賞受賞予想
花水由宇(hanami yuu)の「当たらない文学賞予想」シリーズ。
2020年5月は、第33回山本周五郎賞を予想。
ノミネート5作品ノミネート中から、1作品だけテーマが明るい小説を選んでみましたよ。
ストーリーと登場人物に注目
文豪 山本周五郎賞にちなんだ山本周五郎賞は、登場人物の人物像の表現とストーリーの構成を評価の基準にしている文学賞です。
登場人物の気持ちの変化や行動を鮮やかに表現するのはもちろん、その変化がどうストーリーを変えてゆくかも求められているます。
登場人物の表現、ストーリーの構成どちらか1つだけでは足りないんですね。
世の中を暖めてくれるストーリー
登場人物の表現とストーリー構成の他に、影響がありそうでなさそうなこともあります。
それは、世相(せそう)。
せっかく素晴らしい登場人物でも、本が出版された時代に受け入れられない仕事や役割の方では、読者さんも良い気持ちはしないでしょう。
また、ストーリー構成も時代が影響するのかなぁと思います。
例えば、世の中の出来事と反対の世界観の小説に好感が持たれるのではないでしょうか?
不安、イライラ、疲れ、マイナスな感覚の多い今の世の中には、「世の中を暖めてくれるストーリー」が必要。
第33回山本周五郎賞受賞に寺地はるなさんの『夜が暗いとはかぎらない』を予想
「世の中を暖めてくれるストーリー」は、ノミネート5作品の中でこの1冊しかありませんでした。
実は、第33回山本周五郎賞のノミネートが始まった時季は、東京オリンピックが半年後に迫っていた時期です。
多くの方が、世の中の「良い」変化を楽しみにしていました。
そういう時には、シリアスな小説を楽しみたくもなります。
ですが、今は………これ以上シリアスな世界観は辛くなるだけです。
閉店が決まった大阪の隣町にある「あかつきマーケット」。
ある日、マスコットキャラクター「あかつきん」は誰にも知られずに姿を消した。
あかつきんの失踪先は、困った人、悩んでいる人のところだった。
町の人に寄り添う人助け。
なんだが気持ちが暖かくなる1冊を第33回山本周五郎賞受賞に予想します。