陽気なギャングは三つ数えろ
著者 伊坂幸太郎
出版社 株式会社 祥伝社
分類 ミステリ小説
出版日 2018/9/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
伊坂幸太郎さんの人気ミステリ「陽気なギャング」シリーズ。
前作、『陽気なギャングの日常と襲撃』から9年後の続編出版になります。
伊坂幸太郎さんならではの、細かな伏線回収のミステリーを紹介させていただきますね。
陽気なギャングも年をとる
雪子の息子慎一が中学生から大学生になり、「陽気なギャング」の世界では前作『陽気なギャングの日常と襲撃』から 4〜6年の時間が経っていました。
成瀬
強盗団のリーダー成瀬は、普段の勤務先の市役所でも頼られる課長。
彼には生まれつき必ず嘘を見破る力と冷で正確な判断力の持ち主。
今回は、成瀬の演技力も見どころの1つです。
響野
喫茶店を経営する、成瀬の高校からの友人響野。
響野のコーヒーは相変わらず不味く、人気もいまいち。
普段の仕事も銀行強盗でも裏表のないキャラクターは、周りに1人はいて欲しい人ですよね。
銀行強盗では、「特に役にも立たない話題」で演説をして時間を稼ぐ大切な役割も健在です。
久遠
動物を愛し、銀行強盗で手に入れた資金で海外と国内を行き来する青年。
動物好きの久遠は、どこに住んでいるのか?と仲間に思われるほど不思議な人物。
今回は、思わぬ出来事を呼び寄せることに………。
雪子
コンマ1秒も狂わない体内時計で強盗団のドライバーを務める女性強盗。
普段は派遣事務員として、大手企業に勤務する雪子は子育てもひと段落。
大学生になった息子の慎一は、ホテルスタッフのアルバイトをする青年になっていた。
ホテルのラウンジ
2年ぶりの銀行強盗で、腕を怪我してしまった久遠。
「3人のうち1人は腕を怪我」、このことが新聞記事にも掲載された。
その新聞を片手に4人が集まっていたのは、強盗団のドライバー雪子の息子が働くホテルのラウンジ。
そこには、強引な取材で悪名高いゴシップ雑誌の記者 火尻が泊まっていた。
強盗団と雑誌記者。
追う者、追われる者の駆け引きはもう始まっていた。
物語の中でも時間は進む
結成当時はメンバーのほとんどが20代だった「陽気なギャング」の強盗団。
リーダーの成瀬は、年齢以上の風格を纏うようになり、1作目ではあどけなさがあった久遠も自立した青年になっていた。
雪子は子育てを終えて、育てる側から見守る側に母親の役割を変えようとしている。
変わってないのは響野だけ?
それも、「陽気なギャング」シリーズのお決まりの1つです。
キーワードはズバリ時間
1作目の『陽気なギャングは地球を回す』から、時の流れを感じさせてくれるシリーズ3作目。
物語のキーワードは、「時間」そのものです。
それでは、謎解きは本を開いてお楽しみくださいね。