フィクションで共通のイメージを持たれるキャラクターは文化になる
漫画の考察サイトでは、「○○キャラランキング」というお馴染みのキャラクターの投票を見かけます。
特に漫画やアニメでは、個性が際立っている他に「そのジャンルで共通のイメージ」を持たれるようになったキャラクターは、文化になる。
ふと、そう思いました。
お巡りさんといえば両津勘吉、刑事といえば銭形警部
お仕事のイメージでは、交番勤務のお巡りさんというと『こちら亀有公園前派出所』の主人公 両津勘吉が思い浮かびやすいですよね。
同じお巡りさんでも、刑事といえば『ルパン三世』の銭形警部ではないでしょうか?
捜査に携わる刑事さんのイメージは、長めのトレンチコートを着た短髪の男性姿が1番に思い浮かぶのは、銭形警部の影響が大きいと思えますよ。
ブラックジャック=すご腕のお医者さん
また、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』は連載から50年が経とうとしていますが、未だにすご腕のお医者さんは「○○のブラックジャック」と例えられることがあります。
お医者さんを描いた漫画では、『仁』や『ドクターコトー』も有名ですが、すご腕のお医者さんというと、顔に傷がありマントを羽織った姿が印象的です。
ドラゴンボールみたいなご飯
人物ではなく、大盛りの料理のシーンも例えとして使われることがあります。
鳥山明先生の『ドラゴンボール』シリーズでは、孫悟空をはじめ大食いの登場人物たちが丼から40~50cmは高く盛られたご飯を描き込むように食べていました。
大食い番組やお笑い芸人さんのコントでは、山盛りの丼を「ドラゴンボールみたいなご飯」と例えることがあります。
最近では、親子2世代に人気の『ONE PIECE』の主人公 ルフィがテーブルに積み上げられた食事をもりもり食べることで、「ルフィみたいな」と例えられることもあります。
ムキムキな体型のゴリ(赤木剛憲)
大柄でムキムキの筋肉を持つ方を「ゴリマッチョ」と例えられたのは、数年前のことでしょうか?
この「ゴリ」という表現は、「ゴリラのような」身体や迫力の意味があり、昔からの「ゴリ押し」という単語とは区別されて使われています。
こちらの由来は、映画化が話題で再ブレイクが間近な井上雄彦さんの『SLAM DUNK』が由来です。
主人公の桜木花道が通う、湘北高校バスケットボール部のキャプテン赤木剛憲は、高校生離れした190cm以上のマッチョ体型、相手選手に立ちはだかる「ゴリラのような」大迫力の佇まいからゴリと呼ばれています。
身体的な特徴をあだ名にするのは、令和の時代では微妙なことですが、ポジティブな意味で使われ続けるといいですよね。
例えと共通のイメージ
刑事さんといえば銭形警部、すご腕お医者さんはブラックジャック、マッチョな男性アスリートの方はゴリ、こうした例えには「共通のイメージ」を持ちやすいからだといえます。
共通のイメージの3つの特徴
共通のイメージを持ちやすいキャラクターには、3つの特徴があります。
①作品の知名度が高く連載が長い
②個性的な特徴
③競合するライバルキャラクターがいない
1つ目の①作品の知名度が高く連載が長いことで、幅広い年齢層に登場人物が知られることになります。
『こちら亀有公園前派出所』の両津勘吉、も、『ルパン三世』の銭形警部で、『ドラゴンボール』孫悟空、『ONE PIECE』のルフィなどは少なくとも10年以上の連載で世代を超えた知名度を獲得しています。
連載期間は短くても、②個性的な特徴
と③競合するライバルキャラクターがいないことは、「○○といえばこのキャラクター」というように登場人物が共通のイメージをつくるきっかけになります。
『SLAM DUNK』のゴリ(赤木剛憲)の登場から、大柄なマッチョのアスリートは良い意味でゴリラに例えられるようになりました。
『ブラック・ジャック』は、連載から50年が過ぎていますが、「個性的なすご腕のお医者さん」というキャラクターが描かれる作品が少なかったためか、「○○といえばこのキャラクター」というを確立した1人です。
共通のイメージは長い間続く
共通のイメージを持たれやすい登場人物や作品は、連載期間が長く幅広い年齢層に登場人物が知られています。
1度、共通のイメージが出来上がると、それは世代を超えて長い間続くことになります。
先ほどの例えは、連載が古い作品ばかりでしたが、これからの漫画やアニメ作品は、先駆者として文化を築き上げることができるのでしょうか?
世界的な人気作品も多い近年、楽しみでなりませんね。