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国内ファンタジー小説の名作『アルスラーン戦記1 王都炎上』の紹介

アルスラーン戦記1 王都炎上

王都炎上 (光文社文庫 た 24-5 アルスラーン戦記 1)

著者 田中芳樹
出版社 株式会社光文社(初版 角川書店
分類 ファンタジー小説ヒロイック・ファンタジー
出版日 2014/4/20(初版 1986/8/28)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
異世界を創り出す小説家 田中芳樹、人気作品とともに紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

今月の本の紹介は、日本人作家さんによるファンタジー小説の中でも名作として読みつがれている『アルスラーン戦記』の紹介です。

アルスラーン戦記の登場人物


長編ファンタジー小説アルスラーン戦記では、主人公側・敵側・第三者側それぞれに魅力的な登場人物が数多く描かれています。
物語の始まりを描く『アルスラーン戦記1 王都炎上』からは、主要人物の4人を紹介させていただきますね。

アルスラーン

物語の主人公でパルス王太子
穏やかな顔立ちで、夜空のような深い色の瞳を持つ14歳の少年。
パルスの第18代国王アンドラゴラス三世タハミーネ王妃の息子として、顔立ちに似つかわしくない黄金の兜をかぶり初陣に出ていた。
彼の出会う1人1人が物語の歴史に名を残し、過ごしている日々が後に語り継がれることを……今は知るものはいないのかもしれない。


ダリューン

黒一色の甲冑に裏地を赤く染め上げたマントを羽織り、戦争での活躍から「戦士の中の戦士」の異名を持つ騎士。
27歳の若さで、パルス軍1万人の騎兵を率いる。
周りの騎士よりも背が高く鍛え上げられた身体に、日に焼けて引き締まった精悍な顔立ちの青年。


ナルサス

宮廷画家を夢見る、パルス領北東のダイラムで暮らす元領主。
5年前、隣国3カ国の侵攻を軍勢を使わずに撃退した功績を得ながら、官僚の不正と国王の政治不信を直訴したことで領土を没収され、人里離れた山奥に従者のエラムと暮らす。
長身の身体に知的な表情を浮かべる、ダリューンの1歳年下の青年。


銀仮面の男

侵略者ルシタニア軍に身を置く謎の剣士。
大柄な体格に、両目と口の部分だけ穴の空いた銀色の仮面で読み取れない表情。
両目の穴からは、見るものをすくませる眼光が底しれない威圧感を与える。




物語の舞台は中世の西アジアから中東


アルスラーン戦記の舞台は、西アジアから中東をモデルにした中世の封建社会
アルスラーンの父アンドラゴラス三世が治めるパルスは大陸公路が東西に通り、北にダルバンド内海、南に外海を持つ肥沃で穏やかな気候の王政国家。
国の中央部には大陸公路を守るように王都エクバターナが鎮座していた。
大陸公路の保護者として貿易の恩恵を得る一方で、東のトゥラーン・チュルク・シンドゥラ、西にマルヤムとミスルを抱え、東西を他国に挟まれた地理的な要所でもあった。




パルス歴320年、戦乱とともに始まるアルスラーン戦記の物語


パルスの北西マルヤムを制圧したルシタニアは、四季があり豊かな領土を求め過激な一神教イアルダボート教の教えを信じる軍勢でパルス侵攻を開始した。
パルス歴320年、後の世に『第一次アトロパテネ会戦』と呼ばれる大会戦とともに物語のページは開かれる。




物語に存在する確かな歴史と登場人物


現実の世界と何処か似通ったパルスの地。
大陸公路がシルクロードにも見え、ダルバンド内海がカスピ海にも見える。
登場人物たちは、麦酒と呼ばれるビールを飲み交わし、歌を歌う。
物語の中で語られる歴史は、本の中に実在し、描かれる登場人物が史実通りの人物像に感じる。
本のページをめくるたびに、実在の歴史と物語の世界を行き来させてくれる世界観は、出版から40年に迫る令和で暮らす私たちを楽しませてくれる物語ですよ。


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