アルスラーン戦記7 王都奪還
著者 田中芳樹
出版社 株式会社光文社(初版 角川書店)
分類 ファンタジー小説、ヒロイック・ファンタジー
出版日 2014/12/20(初版 1990/3/25)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
日本の名作ファンタジー小説「アルスラーン戦記」シリーズは、文庫版7巻の『アルスラーン戦記7 王都奪還』が第一部の完結作にあたります。
第1巻からの波乱のストーリーは、どのような結末を迎えるのでしょうか?
アルスラーン戦記7 王都奪還の登場人物
『アルスラーン戦記7 王都奪還』は、タイトルにあるように物語としてのひと区切りになるストーリーです。
そこで、改めて物語の中心人物を振り返り紹介させていただきます。
アルスラーン
父と母の救出という目標は、父アンドラゴラス三世自身がルシタニアの手から逃れたことで一応の区切りがついていた。
旅の中で見つけた使命とも夢ともいえる2つの目標も、集った仲間となら実現することができるのかもしれない。
「侵略された祖国を解放」
「奴隷制度を含む旧体制の改革」
初夏の夜空のような、深い青色の優しい目を持つパルス王国の15歳の王子。
父から告げられた左遷先の港町ギランを掌握し、おぼろげだった夢に見合った実力が集まりつつあった。
ダリューン
アトロパテネの戦場からアルスラーンに付き従う、27歳の万騎長。
周りの騎士よりも頭ひとつ背が高い、精悍な顔立ちの青年。
黒い愛馬を駆り、表が黒く裏地が紅いマントを羽織り戦場を駆け巡る姿は「黒衣の騎士」として敵対勢力に恐れられている。
パルス王族としてではなく、1人の指導者としてのアルスラーンに忠義を誓いアルスラーン一行の主力を率いる軍の実戦総指揮官を担う。
ナルサス
貴公子のような整った顔に、いたずらっぽくも鋭い目線を覗かせる26歳の青年。
アルスラーンの描く理想の中に、国の未来を見つけ、異端児とも呼ばれる知恵を振るう。
少年時代の軍学校で、軍隊が戦うために必要なもの?との問いに「資金と食料」と回答するほどの現実主義でもありながら、アルスラーンの夢を信じる理想家の1人でもある。
ヒルメス
正統な王位継承権を主張するパルス先代国王の遺児。
銀仮面をつけ謎の騎士として身を寄せていたルシタニアと袂を分け、かつての万騎長サーム、戦死したカーラーン万騎長の息子で屈強な戦士ザンデとともに三万人の兵力で王位の座を目指す。
溶岩に例えられるほど熱くなる感情を隠す銀仮面を脱ぎ捨てた右半分の素顔は痛々しい火傷の痕が残り、左半分に清々しくも知的で勇ましい顔を覗かせる。
パルスで最も暑い夏
ニームルーズ山脈を越え、南から内陸に吹き込む乾いた熱風。
熱気を帯びた大気と焦がすように照りつける太陽で熱せられた大地は、夜になると汗をかくように湿気を持った熱を放つ。
四季がはっきりとあり、真夏でも昼夜の気温差があるパルス内陸では珍しい酷暑の8月。
さまざまな思いを抱き集まる人の熱が、そのまま冷めないかのように……。
パルス歴321年、三つ巴の王
パルス歴321年8月、王都エクバターナ陥落から10カ月が過ぎた真夏の平原に、4つの勢力が集結していた。
ひとつは、パルスの隣国マルヤムを手中に収め豊かな土地に侵略の手を伸ばしたルシタニアの20万人の軍勢。
対する勢力は、パルス国内から集結した8万人の軍勢を率いるアンドラゴラス三世。
対峙する2つの勢力のせめぎ合いを伺う銀仮面の男ヒルメスに率いられたエクバターナ防衛戦の残存兵と彼を慕う3万人の軍勢。
そして、理想のために集った2万5千人の兵力と南部の港町ギランの経済力を支配下に置くアルスラーン。
1つの国を巡り、思惑の違う4つの勢力は動き出す。
理想と現実
働きがいという理想を求めても、収入という現実が伴わなければ暮らしてはいけない。
明るい未来を夢見ても、今目の前の事実と向き合わなければ先へ進めない。
ファンタジー小説の世界でも現実世界でも、平和と平等の理想は、それを実現する経済力なり軍事力などの力が必要とされる。
経済力は格差を、軍事力は暴力の原因にもなる。
問題は、誰がどう使うか?なのかもしれない……。
アルスラーン戦記第一部のシリーズ一覧
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