読んでおくとためになるプレゼンの教科書 スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
著者 カーマイン・ガロ
出版社 日経BP社
分類 ビジネス書
出版日 2010/7/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
今回から3回に分けて、私が数年愛用しているプレゼンテーションの教科書を紹介します。
1回目は私がこの本を選んだ理由と概要を紹介します。
プレゼンは営業職や専門職を問わず、今では必須の技術でもありますよね。
今ではというより、昔からプレゼンは行われてきました。
今でこそ専門書やノウハウ本が出ていて、プレゼンのセミナーも溢れていますが、実は昔から行われていた方法でもあります。
営業の説明や商品発表の場面で自然に行われていた技術が、世界中の優れた話し手の方法が分析されて、聞く方に伝わりやすい効果的な方法として紹介されるようになってきた、といったところでしょうか。
前置きが長くなりましたが、さっそくプレゼンに役立つ1冊『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン 』を紹介しますね。
プレゼンテーションの教科書はコレをお勧め!
この本をプレゼンの教科書に選んだ理由
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』、今では私にとってのプレゼンテーションの教科書的として書き込みだらけで活躍してくれていますが、初めて読んだ当初はスティーブ・ジョブズにまつわる読み物としてでした。
熱狂的なファンではありませんが、iPhoneを生み出し私の暮らしを楽にしてくれたことに感謝しており、闘病中で度々テレビで特集も組まれていたスティーブ・ジョブズを知るために兄弟の本棚から勝手に借りて読んでいました。
同じ時期に職場や仕事関係でプレゼンテーションを身につける必要があった私は、ちょうど読み終わり手元にあった『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』を教科書にすることにしました。
今まで教科書の探し方の方法のお話もしましたが、プレゼンテーションの教科書とは「たまたま」出会った間柄だったわけです。
プレゼンの勉強の役に立つ理由は?
この本を読んでプレゼンテーションの勉強を始めるまでは、職場の先輩や講習会の先生の発表方法とスライドを真似たりと表面的なモノマネのみでプレゼンを行っていました。
この本は、「なぜプレゼンテーションをするのか?」「誰に伝えたいのか?」といったプレゼンの目的から伝え方まで全ての方法を網羅している1冊です。
プレゼンテーションのお話を誰かに伝えるときにするたとえ話があります。
それは、プレゼンは紙芝居が手本になるというお話です。
紙芝居は物語の絵を見せて、おじさんがストーリーやセリフを臨場感が出るように伝えていますよね。
ストーリーが紙芝居の絵に書いてあるものは見ませんし、あまり面白そうには思えません。
プレゼンもスライドに全てを詰め込むのではなく、スライドはあくまでお話の補助。
物語は話す方のお話の内容です。
そのことをカーマイン・ガロさんは「ストーリーを考える」と強調して伝えています。
このお話の内容を大切にすることがプレゼンテーションの基本になるのではないでしょうか。
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』は新たにプレゼンを学ぶ方や、今の自身のプレゼンを見直す方にとって最も大切な点が書いてある本でもあります。
著者の紹介
略歴
世界的に有名なプレゼンテーション講師カーマイン・ガロ、サンフランシスコ在住でアメリカのメディアには出演しているそうですが私は日本のテレビでは見たことはありません。
かつてCNNでジャーナリスト経験があり、肩書きはコミュニケーションコーチとあります。
世界的な企業の講師を務めていて、世界的な企業の考え方に大きく影響しています。
まさに、世界標準なんですね。
他の本の紹介
カーマイン・ガロさんの著書からプレゼンテーションの代表的な2冊を紹介しますね。
私自身が原著を読むほど英語力はありませんので、翻訳された書籍からになります。
TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則
ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン
2つの本もベストセラーで、本屋さんに平積みされている光景を目にしたことがあります。
ビジネスマンの方に限らず、社会人の方や大学生の方は既に読んだことがあるのではないでしょうか?
私は、この『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の次に『︎TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則』を読みました。
どちらかというと、スティーブ・ジョブズのエピソードを含む『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の方が、頭に入りやすくプレゼンテーションの教科書としては好みです。
構成と読みやすさ
本の構成
プロローグ
第1幕 ストーリーを作る
第2幕 体験を提供する
第3幕 仕上げと練習を行う
アンコール 最後にもうひとつ
全405ページの本の構成は非常にシンプル。
プレゼンテーションに大切なキーワードを完結に3つでまとめてきます。
この第1幕から第3幕が章にあたり、その中に15〜30ページ分の『シーン』と書かれてある項目があります。
1つのシーンの末尾には『ディレクターズ・ノート』というまとめが書かれていますよ。
読みやすさ
読みやすいか?と聞かれると、決して読みやすい本ではないと思います。
空白はありますが文字の大きさは小説と同じ程度の405ページの本ですから。
それぞれのシーンの中には参考にした表や例えになった話題のまとめが、埋め込みの形式で載っていて教科書的な読み方をする必要があります。
文章と埋め込みの表や例えを照らし合わせて読むことが、読み方のポイントになります。
お勧めの理由
実用性は?
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』は2010年の出版でもあり、カーマイン・ガロさん中では最初の方の著書になります。
教科書として選ぶなら、内容だけでは昨年の2016年に出版された『ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン』の方が『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』より完成度が高いでしょう。
ですが、最も大切な「ストーリーを考える」点ををシンプルに押さえている今回紹介する本の方が使いやすさがあります。
1〜10を全て1冊で学ぶのではなく、この1冊を元に自分自身のプレゼンテーションを身につけていくことができますよ。
信頼性は?
カーマイン・ガロさんは世界的なプレゼンテーションの講師経験もあり、テーマで取り上げるスティーブ・ジョブズのプレゼンの方法の他にも様々な成功者や努力中の人のプレゼンを知っています。
そして、講師という立場でプレゼンの必要な業界を導いている立場でもあります。
そのため、プレゼン方法として世界的な考え方でもあり信頼性はあるといっていいと思いますよ。
熱狂的ファンの人には申し訳ないですが、『スティーブ・ジョブズ本人が語る凄いプレゼン術』という本があったとしたら、天才的な人にしかできない方法でしょう。
その点、スティーブ・ジョブズをプレゼンの専門家視点で分析したカーマイン・ガロさんの著書は応用もできて信頼性がありますよ。