スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン お勧めの理由
著者 カーマイン・ガロ
出版社 日経BP社
分類 ビジネス書
出版日 2010/7/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
知られすぎているプレゼンの本、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン 』の紹介第2回です。
あえて説明しなくても読んだことのある方も多い本ですが、私自身がプレゼンテーションの教科書にしている愛着のある本ですので3回の連載で紹介させていただいています。
今回、第2回はお勧めの理由とプレゼンの準備に役に立つ3つの方法をお伝えしますね。
プレゼンの教科書にお勧めする理由
第1回の紹介でお話ししたお勧めする理由を3つにまとめてみました。
最も大切な「ストーリーを考える」点ををシンプルに押さえていて応用しやすい
プレゼン方法として世界的な考え方でもあり信頼性がある
読み方のポイントは文章と埋め込みの表や例えを照らし合わせて読む
ひと言でいうと
「世界的なプレゼンの考え方をシンプルにまとめた本ですが、読み方の工夫が必要」
な本です。
そのままは真似できない
そして、この本を活用するには注意点が1つあります。
それは、そのままそっくり真似はできない点です。
本の中では、特に社内のプレゼン資料でありがちな「箇条書き」を減らすように書かれています。
「箇条書き」を減らしてシンプルで伝わりやすいスライドにすることは大切だと思います。
ですが、例えば経費節約案のプレゼンテーションでスライドに『文房具』とだけ書いてシンプルに表示するとします。
「文房具費は時期によって、また年度によって変動があります………」
とプレゼンを始めますと、好きな方は好きだと思います。
私も好きですから。
ですが、反感を買い提案の採択に影響することでしょう。
万人受けはしない方法ですから。
そこで、この本の内容をプレゼンの相手や環境に合わせてアレンジする必要がありますよ。
プレゼンの準備に役に立つ3つの方法
アナログで構想を作ること
まず「書く」、つまり、筋書きを作る。それができてから、スライドのイメージについて考えろということだ。「筋書きを作る」とき、フォントや色、背景、スライドの切り替えといったパワーポイントのデザインは全て忘れること。そんなはずはないと思うかもしれないが、実は、最初に筋書きを作ったほうが映像の可能性が広がる。書くことによって目的が明確になるからだ。
p30 第1幕 ストーリーを作る シーン1 構想はアナログでまとめる
アナログ、つまり紙とペンでプレゼンの構想を考えることが大切。
例えば、演劇の舞台で台本を考えながら演出や道具作りは行わないはずです。
台本が変更になると、途中まで作っていた道具や衣装をガラリと変えなければならなくなりますから。
プレゼンの台本が「筋書きを作る」に当たり、道具や衣装がフォントや色、背景、演出がスライドの切り替えに当てはまります。
まず「筋書きを作る」ことを完了してから、スライドのフォントや色、背景を作る。
演出に当たるスライドの切り替えは最後に行うことがプレゼンの準備を早くするコツでもあります。
万能3点ルール
ジョブズは聴衆にロードマップを示す。このさき、どのようなアトラクションがあるのかを語るのだ。ロードマップは、いつもだいたい3つずつのグループに分けられている。プレゼンテーションが「3シーン」に分かれている、製品を「3つの機能」で説明する、デモが「3つの部分」で構成されているといった具合だ。ジョブズは、1984年1月24日、初代マッキントッシュの発表のころには、もう、「3」を好んで使っていた。
p100〜p105 第1幕 ストーリーを作る シーン5 ロードマップを描く
3点ルールはよく知られていますね。
物事を3つにまとめて伝える方法です。
海外では「3匹のくま」の物語、国内では毛利元就の「3本の矢」など人は3に慣れていて覚えやすいことは昔から変わらないようです。
3点ルールはプレゼンの要点を覚えてもらうためにも必要な方法です。
画像を効果的に使う
画像優位性効果の理論は情報の吸収に大きく役立つはずだ。ワシントン大学医学部の分子生物学者、ジョン・メディナは、文字と言葉によるプレゼンテーションは、絵と比べて、ある種の情報を維持する効率が単に悪いわけではなく、ものすごく悪いのだと言う。情報を話して聞かせただけだと、72時間後、人はその10%しか記憶していない。これに絵を加えると、65%が記憶に残る。
p181 第2幕 体験を提供する シーン8 禅の心で伝える
画像が記憶に残りやすいことは本当のことです。
難しい研究の報告などもありますが、例えば新作のパソコンの説明で画面が何インチでキーボードの配列は何で、外部との接続はUSB3.0が左に2つ右に1つ………なんて書いてある説明書より、3枚ほど画面があれば外観は全て知ることができると思います。
さらに情報の流れてくる時間にも関係しています。
先ほどのパソコンの説明を1分聞くのと、実物を10秒見るのでは、集中する時間は短い方が集中しやすいですし、もし10秒しか集中していないとしたら、説明を1分聞いていても全てを覚えていることは難しいでしょう。
第2回は私が大切にしたい内容をピックアップしてみました。
次回第3回が連載最終回ですので、著者カーマイン・ガロさんが伝えたい内容と『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン 』で行った私自身の実用方法をお伝えしますね。