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それでも過去に戻る?映画化されたベストセラー コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

著者 川口俊和
出版社 サンマーク出版
分類 小説
出版日 2015年12月6日



カウンターと、テーブルが3席のこじんまりとした喫茶店

テーブルの1席には、常連のワンピースの女性が毎日変わらず本を読む姿。

数年前に「過去に戻れる」と噂になり、今は都市伝説として囁かれる静かなお店。

溢れ出た人の思いを受け止める、下皿のような喫茶店で起こる、濃いめのカプチーノを飲み干した時のような不思議で胸が熱くなる物語。



「時」を巡る登場人物

時田数

茶店のマスター時田流の妻 計の妹で、の女子高校生。

「過去へ戻る」ための、儀式の全てを取り仕切る。

過去へ戻れるコーヒーを入れることができる物静かな店員。


時田流

天井の高い喫茶店でなければ、天井に頭を擦りそうな長身のマスター時田流。

茶店のコーヒーは彼のこだわりのモカ、トーストのバターの香りにこだわるなど細かな仕事の手を抜かない寡黙な職人肌。


時田計

自然と笑顔が絶えない、喫茶店マスター時田流の妻。

寡黙な流と、会話が途切れない計がカウンターでお客さんと自然体に接する喫茶店

誰もが、席を離れたくなくなるのかもしれません。


清川二美子

キャリアウーマンの道を突き進んだ女性 清川二美子。

訪れた喫茶店で、アメリカの企業に転職をした彼に別れを告げられ過去を振り返る日々を過ごしていた。

過去へ戻り、やり残したことのために再び喫茶店を訪れることに…


平井久美

茶店の近所でスナックを経営する、ママの平井久美。

開店前の時間にカーラーを巻いたまま、普段着姿で訪れる常連客。


高竹と房木


植木職人を引退し、いつも同じ席で旅行雑誌をめくる房木。

近所の病院で看護師を務める高竹。

房木が思いふける過去とは……

高竹の思いとは………



過去へ戻れる喫茶店


3台の柱時計がそれぞれ別の時間を指し、レトロなシェードランプが全てを照らし出さないくらいの店内。

地下にあり、冷房のかかっていない夏でもほんのり涼しい古びた喫茶店

知る人のほとんどいないレトロな空間に、時間に導かれた人はふと訪れる。


コーヒーが冷めないうちに過去を訪れる多くのルール


いくつもある過去に戻るルールで最も難しいのは2つ。


①過去に戻るには、ある席に座らなければならない

②その席に座れるのは、常連のワンピースの女性が席を立った間だけ


そして、多くの人が過去に戻らなかった理由は………

過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない

それでも、コーヒーを入れてから冷めるまでのわずかな間、過去に戻りたい人がいる。


キーワードは「過去」、テーマは「今」


過去に戻って、変えられる「今」はない。

タイムトラベルを題材にした作品の多くで、今まで人が歩んだ歴史を変えられない暗黙のルール。

疑問を持つなら、「今」はどこにあるのだろう?

「過去」はたしかに存在する。

私たちが歩んできた時間と思い出。

「未来」もまた存在する。

予想を裏切って翻弄し、また希望を抱かせてくれるこれからの時間。

それなら「今」は?

「今」と言っている間にも「今」は「過去」になり、私たちは「未来」を思う。

それなら、変えられるのは………



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