本当に本が読みたくなる読書のブログ

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加賀恭一郎が新参者として挑む日本橋の人間模様、『新参者』東野圭吾

『新参者』

新参者 (講談社文庫)

著者 東野圭吾
出版社 株式会社講談社
分類 ミステリー小説
出版日 2009/9/18
読みやすさ ☆☆★読みやすい
日本を代表するミステリー作家 東野圭吾さんの紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

東野圭吾さんのミステリー小説の代表作「加賀恭一郎シリーズ」、8作目の『新参者』を紹介させていただきます。

物語の舞台は、7作目の『赤い指』から日本橋付近に変わります。

『このミステリーがすごい!2010』を受賞し、翌年放送された阿部寛さん主演のドラマの影響もあって加賀恭一郎が日本中に知られるようになった物語。

本作から加賀恭一郎シリーズが「新参者シリーズ」と呼ばれるようになった作品です。

『新参者』の登場人物


主人公の加賀恭一郎が日本橋署に移動になったばかりの『新参者』では、事件に関係する登場人物の暮らしや生い立ちが細かく描かれている作品です。

加賀恭一郎(かがきょういちろう)

日本橋署刑事 警部補。

練馬署から、日本橋署へ移動になったばかりの新参者。

引き締まった体格に、Tシャツの上にカラーのシャツを羽織り外回りに出るようになった。

初対面の相手には、持ち前の笑顔を見せ威圧感を与えないように心がけている。

対人関係の経験を重ねた相手は、和やかな表情に隠された隙のない目線を察することもある。

練馬署での事件解決の経歴は、警視庁捜査一課でも知られている。

毎日町を歩き回り、住民の暮らしや仕事を細かく把握するよう心がけている。


上川菜穂(かみかわ なほ)

煎餅屋「あまから」のひとり娘。

父 文孝と祖母 聡子と共に暮らし、美容学校に通っている。

幼い頃に交通事故で母親を亡くしてからは、祖
母 聡子を母親のように慕う。

言葉遣いが悪く短気な祖母とそっくりの性格で、悪態が飛び交うのが「あまから」の日常になっていた。


修平(しゅうへい)

料亭「まつ矢」の従業員。

高校を退学し、寿司職人に憧れ料理人を目指している。

従業員の中で1番若く、料亭での仕事は給仕係の他に雑務全般と親方の用事をこなす。


柳沢麻紀(やなぎさわ まき)

瀬戸物屋「柳沢商店」の24歳の若女将。

ビジネスマンの年上の夫 尚哉、「柳沢商店」店主の姑 鈴江と暮らす。

自身も負けん気が強く、江戸っ子気質で頑固者の姑 鈴江との衝突は絶えない。


米岡彰文(よしおか あきふみ)

老舗の時計屋「寺田時計店」の従業員。

細かい作業に集中することが好きで、職人気質の親方 寺田玄一(てらだ げんいち)の仕事を学ぶ。

店番と時計の修理の傍ら、寺田家の飼い犬ドン吉の散歩を欠かさない。


清瀬弘毅(きよせ ひろき)

周囲の反対を押し切って大学を退学し、憧れの役者を目指す。

2年前に大学を中退したことがきっかけで、両親の元を離れる。

茶店で働きながら、小さな劇団員で活動している。


青山亜美(あおやま あみ)

弘毅の恋人でデザイナー専門学校に通っている。

茶店「黒茶屋」でアルバイトをしながら、役者を目指す弘毅とともにマンションで暮らす。


吉岡多美子(よしおか たみこ)

清瀬弘毅の母 三井峯子の大学生時代からの友人で、執筆活動の仕事仲間。

1LDKのマンションで翻訳家の仕事ををしている。

海外で暮らすコウジ・タチバナと、1年前から交際中。


清瀬直弘(きよせ なおひろ)

清瀬弘毅の父親。

立ち上げた清掃会社を一代で成長させてきた経営手腕を持つ一方、家庭をかえりみず妻の峯子とは離婚している。

愛人関係と噂される宮本祐理(みやざわ ゆり)を秘書に雇う。


岸田要作(きしだ ようさく)

「岸田税理士事務所」の税理士兼所長。

清瀬直弘の大学生時代からの友人で、直弘の会社の財務管理を引き受けている。

息子の克哉(かつや)、息子の妻 玲子(れいこ)、5歳の孫 翔太(しょうた)の元を度々訪れている。


藤山雅代(ふじやま まさよ

民芸品屋「ほおづき屋」の店主。

アルバイト店員の菅原美咲(すがわら みさき)と店を切り盛りする。

子どもが使うことを考えて、自分で見て選んだ国産の商品を取りそろえている。


上杉博史(うえすぎ ひろふみ)

警視庁 捜査一課刑事。

加賀恭一郎と共に殺人事件の捜査にあたる。

刑事らしくないラフな服装でひとりで出歩く加賀を快く思っていなかったが、加賀から服装の理由を聞きに納得する。

銀座の首都高環状線を見下ろす橋で缶コーヒーを飲むのが聞き込み帰りの日課になっていた。




新参者の物語の始まり


古くからの繋がりが色濃い地域を訪れる人は、拒まれてはいなくても異色の存在として浮いた色を見せる。

人の出入りが激しい都会でも、暮らしている人が塗り重ねた色彩がある。

世代、性別、性格や職業が異なっていても、地域という不思議な色彩の中に溶け込むのは難しい。

新しく加わった人は、「新参者」として歓迎されることもあれば、奇異な存在として浮いてしまうこともある。


グローバルとローカルが融合する世界観


物語の舞台は2000年代前半の、東京都日本橋近郊。

オフィス街の中央区北部、繁華街の銀座、江戸の文化が残る商店エリアの人形町が舞台。

次々と建てられる高層ビル群の中でも、伝統的な地域の繋がりが続きグローバルとローカルが融合する不思議なエリアに、ひとりの新参者が流れ着いた。




キーワードは人のつながり


阿部寛さん主演のドラマ『新参者』とは、細かな点で異なるストーリーの小説『新参者』。

ドラマでは見落としてしまいそうな、地域の人と人のつながりが細かく描かれた物語です。

ミステリー小説ならではの謎解きはもちろんですが、前作『赤い指』で過去を乗り越えた加賀恭一郎の活躍を楽しめる作品ですよ。


加賀恭一郎シリーズの紹介ページ


加賀恭一郎シリーズ)
1作目  『卒業』
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2作目  『眠りの森』
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3作目  どちらかが彼女を殺した
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4作目  『悪意』
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5作目  私が彼を殺した
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6作目  『嘘をもうひとつだけ』
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7作目  『赤い指』
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新参者シリーズ)
8作目  『新参者』
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9作目  麒麟の翼』
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10作目 祈りの幕が下りる時
11作目 『希望の糸』

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