仔羊の巣 坂木司
著者 坂木司坂木司〜日常ミステリーで広がる世界観 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
出版社 株式会社 東京創元社
分類 ミステリー小説
出版日 2006/6/26
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
坂木司さんのデビュー作品、『青空の卵』。
今回は3作続く「ひきこもり探偵シリーズ」から、続編『仔羊の巣』を紹介します。
会社員 坂木司と「ひきこもり探偵」鳥居真一のコンビが、普段の暮らしの中にある思いがけない「謎」を紐解く日常ミステリ。
坂木司さんの作品の中でも、私の好きなシリーズでもあります。
『仔羊の巣』の登場人物〜第1作の「ちょい役」の方も探偵団に加入
かゆいところに手を伸ばすワトソン役 坂木司
彼の日常には、突然「謎」が迷い込む。
会社の同僚、偶然通りかかった人、知り合いかはわからない度々会う女性。
迷い込んだ「謎」の解決は相方の探偵 鳥居の役割。
探偵ホームズをサポートするワトソンのように、鳥居の手の届かない「謎」の断片を拾い集める。
キレキレの推理が光るホームズ役 鳥居真一
引きこもりのプログラマー鳥居真一。
人のペースや雰囲気に合わせることが嫌いな、料理上手の名探偵。
ガラスのように澄みきっていて、鋭い洞察力とルービックキューブを簡単に合わせるような推理を見せる彼にも、一般社会といわれる人の波に合わせるられない面もある。
感情を露わにする繊細さ、自分の心に正直な姿が彼の魅力でもあるのだろうか。
若者を導く良いおじさん 木村栄三郎
第1作『青空の卵』では、相談者として登場した元木工職人の木村栄三郎。
今回『仔羊の巣』は坂木司と鳥居真一を支える、探偵団の1人として登場。
ときに厳しい表情を見せ言葉を投げかける。
それは、感情のまま「怒る」のではなく、曲がる道を間違えそうになった若者を「叱る」ことで立ち止まらせるもの。
こんなおじさんが1人、若者の中に混じってほしいなと思えるほんとうの大人。
本物のお笑い警察コンビ滝本と小宮
坂木と鳥居の同級生で地元の交番に勤務する滝本、その後輩の小宮。
坂木や鳥居に比べ、豪快なほど活発な滝本。
ときどき、勢いが余りそうになる滝本をほどよく制するのが相方の小宮。
2人のお笑いコンビのような掛け合いが、シリアスなシーンを和ませてくれる「ひきこもり探偵シリーズ」の見どころでもあります。
『仔羊の巣』物語の始まり
主人公、坂木司は保険会社に営業マンとして勤務していた。
坂木がこの保険会社に就職した理由、それは外資系ということもあり勤務時間の融通がつきやすいため。
親友 鳥居の暮らしに合わせることもある坂木には、働きやすい環境でもあった。
就職してから3年になろうとしていたあるとき、坂木の職場の同僚 吉成から、もう1人の同僚 佐久間の様子が変わったことを相談される。
身近に起こる「謎」を解く「ひきこもり探偵シリーズ」
「ひきこもり探偵シリーズ」第2作の『仔羊の巣』、舞台設定は第1作『青空の卵』と同じ東京都内。
交通機関の描写から、東京23区。
坂木司の勤務先、鳥居真一の生活、木村栄三郎の自宅への道のりから、彼らの活動範囲は1区隣くらいでしょうか?
そんなに近い、身近な場所に、日常の「謎」が落ちていることもあるのかな?
『仔羊の巣』テーマは「現実」を受け入れられるか?
物語のテーマは「現実」を受け入れられるか?
世の中には、どうにもならないことも、過ぎてしまったこともある。
どうにもならないことの多くは、物事を決める意思決定は自分以外。
ほんとうに自分では「どうにも」できないこと。
どうにもできないことに、こだわってしまっては「現実」を受け入れることもできない。
また、過ぎてしまったことをどうすることもできない。
過ぎてしまったことを気にしすぎると、「現実」を受け入れることはできない。
過ぎてしまったことを0にすることはできないから。
『仔羊の巣』の主人公 坂木司と鳥居真一の友情以上の感情、木村栄三郎の先人の思いが伝わってくる作品でした。
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