アルスラーン戦記13 蛇王再臨
著者 田中芳樹
出版社 株式会社光文社(初版 角川書店)
分類 ファンタジー小説、ヒロイック・ファンタジー
出版日 2017/11/20(初版 2008/10/10)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
異世界を創り出す小説家 田中芳樹、人気作品とともに紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
日本の名作ファンタジー小説「アルスラーン戦記」シリーズは、第二部の6作目『 アルスラーン戦記13 蛇王再臨』を紹介させていただきます。
アルスラーン戦記13 蛇王再臨の登場人物
物語の第二部も終盤に差しかかる『 アルスラーン戦記13 蛇王再臨』。
新しくストーリーに関わる登場人物に加えて、主人公アルスラーンとその脅威として描かれる蛇王ザッハークも紹介します。
アルスラーン
国内で起こる訴訟の決裁、周辺国への判断、毎日処理しても積み上がる大量の書類……。
同世代よりもはるかに忙しい日々に追われるアルスラーンは、わずかな時間に側近のエラムを伴いお忍びでエクバターナの城下町を訪れることが日課になっていた。
ルーシャンが懸念する「清純過ぎな国王の異性関係」、家臣の間でも話題になるアルスラーンは誰を想い、誰を待っているのか……。
ドン・リカルド
白髪鬼(パラブーダ)の異名を持つルシタニア人の騎士。
4年前のパルス侵攻に参加し、デマヴァント山の地震で「記憶を失うほどの恐怖」に遭遇し30代で髪も髭も真っ白な姿になってしまう。
第二次アトロパテネ会戦の終結後は、当時の騎士見習いの少女エステルとともにルシタニアに帰国。
記憶を失ってからも親身に助けてくれたエステルを信頼し、共に旅を続けていた。
バリザード
ミスルの陰謀に巻き込まれ、逃れた先のマルヤムでルシタニア人のエステルとドン・リカルドに同行することになったパルス出身の女性。
ミスルでは、同じパルス出身のザンテの愛人として過ごしていた。
パルスの神話に登場する神々がデザインされた銀の腕輪を持つ1人。
接客業で身につけた器量のよさと、情熱的な振る舞いが19歳に見合わないと周囲を驚かせる。
ジャガード
先代アンドラゴラス三世の統治時代、パルスの貿易都市ギラン総督を務めていた貴族出身の男。
パルスの宮廷画家で軍事と外交を担うナルサスとは、幼い頃からの旧知の仲だった。
貿易品の横流しや海賊との不正が発覚し、失脚するきっかけになったアルスラーンとナルサスに恨みを持つ。
ミスルに身を寄せてからは、行方不明になっていたヒルメスの名を語り、パルスへの野心と復讐を抱き続けていた。
ザッハーク
アルスラーン王へと続く王朝の始祖カイ・ホスローによって倒されるまで、パルス全土を恐怖で支配した魔物の王。
1000年もの間、毎日生け贄が捧げられ地上には魔物が溢れた時代が続いた。
宝剣ルクナバードを手にしたカイ・ホスローによって、デマヴァント山の地下に封印された今も、狂信的な信望者によって崇められ続けている。
豊かと禍々しさが入り乱れる混沌
大陸公路の中継地エクバターナの華やかさ、王都から離れた街の街道でも、両脇に並ぶブドウやオレンジなどの果樹、整備された用水路。
「パルスは豊かな国だな」
パルスを訪れる人は、周辺国と比べ実り豊かな四季と辺境まで行き届いたインフラに驚く。
かつてルシタニアやトゥーランが総力を上げて手に入れようとしたものは、大陸公路から得られる経済と同じように恵まれたパルスの国土の豊かさだった。
「パルスは化け物の国か?」
辺境での魔軍との衝突を見聞きしたり、実際に目にした海外の人々は、豊かさ以上に驚くことになる。
豊かさと禍々しさが入り乱れるパルスの行く末は……。
パルスの歴史を左右する東西の変化
国内で衝突する機会が増えた魔軍の一党、パルス東部と大陸公路を狙うチュルク国王。
そのチュルクと対立し、パルスとは友好関係にあっても気が抜けない自国の利益を最優先するラジェンドラ3世の治めるシンドゥラ。
パルス歴325年の7月末、パルス東部の情勢を打開するため宮廷画家ナルサスが立てた策は、東部の要所ペシャワール城塞を放棄するというものだった。
パルスの西側で国境を接するミスルを軍事的に掌握したヒルメスは、混乱した国内情勢の中で南側の隣国ナバタイとの武力衝突の対応に迫られていた。
大陸公路の東西から、パルスの歴史を左右する変化が訪れようとしていた。
光と影とその中間?
戦火から復興し豊かに見える王都の暮らし、その影でうごめく魔軍の活動。
多くの人は、その中間くらいの暮らしがあるのは、ファンタジーの世界も現実と変わらず時が流れる。
エクバターナの王宮に集い、後の世でアルスラーンの16翼将と呼ばれるダリューン、ナルサス、エラム、ギーヴ、ファランギース、アルフリード、メルレイン、ジャスワント、キシュワード、クバード、トゥース、イスファーン、ザラーヴァント、ジムサ、グラーゼ、パラフーダ。
アルスラーンと彼らの活躍が物語に何を残すのか?
ストーリーの分岐点になる1冊です。