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後輩指導をする先輩に求められる役割とは?

シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術

著者 鈴木博毅
出版社 株式会社 日本実業出版社
分類 ビジネス書、サブカルと雑学の本
出版日 2012/3/20
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい

後輩指導に役立つ本の紹介の3回目。

ビジネス戦略コンサルタント鈴木博毅さんの『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』から、プレイングマネージャーの内容を取り上げて、上司や職場全体の中で先輩に期待されている役割について紹介させていただきます。

後輩指導を3つの視点で紹介


『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』を後輩指導に役立つ本として、3つの内容で書かれている内容を紹介しています。

3つの内容は、「先輩自身」「後輩の求めること」「上司の期待すること」。


「過去の過ちを認めることで成長できる」
1つ目のテーマは、先輩自身が仕事を見直すと、過去の出来事や失敗を見直した方法が後輩指導に役立つことも多いでしょう。


「若手の後輩を育てる心構えと技術」
2つ目のテーマは、後輩の求めることは何なのか?です。

後輩からコミュニケーション、仕事の両方で信頼を得られる方法をまとめました。


プレイングマネージャーという役割」
今回の3つ目のテーマは、1つ上の役割を意識する上司の目線です。

プレイングマネージャーという中間管理職の役割を例に、後輩指導を通して先輩が上司に求められている内容に触れてみます。



プレイングマネージャーという役割〜上司が後輩指導を通して期待していることは?


プレイングマネージャーとは、自分でも現場の仕事をこなして成果を上げながら、現場の仕事の管理も担う役割です。

大きな企業では、リーダー〜係長くらいの役職、小さな規模の企業では課長くらいの立場に求められる役割です。

後輩指導を担う先輩は、自分の仕事を十分にこなし(プレイング)、後輩をサポートする(マネージャー)が求められています。


目標達成型のチームを創る4原則

①目標達成のためには「場」全体を見渡すこと
複数のスタッフが参加する作戦では、同時並行的に作業が進められるため、時ととして「理想の完成形」が見えにくくなることがあります。
しかし、チームを率いるリーダーは常に「理想の完成形」を見据えていなければなりません。
各人がどう活動し、いかなる成果を上げているかを正確に掌握しつつ、最終的な成果へ向けて、必要な矯正やアドバイスをしなければならないのです。
②チームの「目標」は何度でも確認する
通常、組織とは何らかの成果を上げるために作られた集団です。
しかし、いつの間にか「ぬるま湯」になってしまい、メンバーの目的意識が希薄になることがあります。
こうした空気が蔓延すると、上司でさえ「目標」に対してあまりうるさく言わなくなってしまうのです。
緊張感のなさや惰性がその原因と思われます。
中略)
ビジネスにおいても勝利を得るために、絶対に粘るべき場面が存在します。
シャアは戦場で勝つために「目標達成」を部下の行動管理基準にしているのです。
③「緊張感」を維持させて成果を上げる
経験の浅いスタッフほど、仕事を進めるうえで「次に起こること」を予測する能力(まさに体験)がありません。
逆に言えば、シャアは自分の経験の一部を部下と共有することで「想定外の出来事」を防ぎ、注意すべきポイントを伝えてミスを最小限に抑えるようにしているのです。
一年戦争当時から比較し、シャアの操縦技量なさらに向上しているはずですし、戦闘経験の豊富さから考えても「深い自信」を持っていいはずです。
それでもシャアは、自ら油断の入り込むスキなどない戦闘を繰り広げ、さらに部下の慢心を厳しく戒める言葉を繰り返します。
④自らの「価値観」を語って周囲を巻き込む
クワトロ(シャア)はカミーユ・ビダンという少年がエゥーゴの一員になったあと、折に触れて自らの「価値観や理想」を積極的に語ります。
中略)
黙して自らの思いや意図を語らず、部下は駒のようにただ言われた通りに動けばよいという不遜な態度はわ一年戦争当時のシャアに頻繁に見られた部隊指揮でした(当時のシャアの目的は「ザビ家打倒」であり、それ故に意図を語ることはなかったのですが、部下にしてみれば自らが駒のように感じられたことでしょう)。
リータが理想や目標を語らず、「あれをこうしろ」「これやっておけ」だけでは、部下は置き去りにされていると感じるものです。
リーダー自らがその価値観や理想を言葉にすることは、周囲を同じ理念で巻き込み、部下に積極的な貢献を促すことにつながります。
Chapter1 赤い彗星のシャアからクワトロ・バジーナへ p30〜p39


この項目は、シャアの取り組みを織り込んで書かれていますが、著者の鈴木博毅が多くの企業、プロジェクトチームと関わった中で見つけた「目標を達成できるチームの基本」といえます。

①広い視点〜目標達成のためには「場」全体を見渡すこと

これは、チームをまとめるリーダーは個々の作業にも目を配りますが、視点は常に目標を目指して物事のまとめ役に徹しましょうということではないでしょうか。

②目標を意識〜チームの「目標」は何度でも確認する

リーダーが意識している目標は、メンバー全員が共有する必要があります。

個々の仕事に集中している間は、ついつい目標を見失いがちです。

ミーティングなどで、伝えることを欠かさないようにしなければなりませんね。

③経験を共有〜「緊張感」を維持させて成果を上げる

新社会人や後輩にとっては、「ささいな出来事」でも、トラブルを経験したことのある先輩や上司にとって「まずいことの前兆」という出来事はどんな業界でもあることでしょう。

「この出来事がこうなると、ゆくゆくはこんなことが原因のトラブルにつながる」

目の前の出来事の良し悪しだけではなく、起こった出来事が後々どうなるのかまでを伝える必要があります。

そのためには、先輩や上司の方が経験したトラブルを恥ずかしがらずに「1つの例」として伝えると、新社会人や後輩も出来事を身近に受け止めやすくなるはずです。

④伝えること〜自らの「価値観」を語って周囲を巻き込む

価値観や目的は、「言葉にしなければ伝わらない」というのが最近の常識でもあります。

「言われなくても察しろ」と言うのは、物事が複雑に入り組んだ現代の職場では難しいものでしょう。

後輩指導を託された先輩には、後輩がチームの一員として働けるように、上司からは①広い視点②目標を意識③経験を共有④伝えることを期待して大切な役割を与えていると思いたいですね。


中間管理職としての上司との付き合い方

答えに導きながら上司に花を持たせるクワトロ
エゥーゴの出資者を代表するウォン・リーとクワトロの会話です。
ここでは作戦の内容について、両者の意見は真っ二つに割れている様子です。
ウォン「まだ攻撃を受けたわけではない」
クワトロ「攻撃されてからでは遅すぎます。戦争などは、しょせんはその前後の戦術の優劣によって決します。我々の判断の正しさに自信を持ちましょう」
ウォン「了解した………」
会話の流れからすれば、「ウォンさんは間違っていて、私が正しい」と主張するはずのところを、「我々の判断の正しさに自信を持ちましょう」と言うのですから、癇癪持ちの出資者も丸く収める以外ないといったところでしょうか。
難しい人物へ配慮したシャアの巧みな会話術の一端です。
中略)
○上層部に、現場の正確かつ最新の情報を伝えて正しい判断を促す
○現場に上層部の判断と作戦を伝え、最適な形で現場部隊を動かす
この両方をうまく果たすには、当然ながら上下どちらか一方の味方になることはできません。
よくある、ビジネス上での「板ばさみ」という立場です。
しかしシャアは、上下間に入り込み、「質問力」と「会話力」を駆使してスムーズに作戦を遂行できる潤滑油の機能を果たします。
Chapter5 プレイングマネージャーシャアの人心をつかむ技術 p124〜p129


後輩と上司の間に入る先輩、肩書きはなくても中間管理職の役割に近いものがあります。

先輩の直属の上司より、さらに上の上司からは「中間管理職の立ち位置を理解する」ことが求められています。

先ほどの2つを、後輩と上司に入れ替えてみるとわかりやすいですよ。

○上司(上層部)に、後輩(現場)の正確かつ最新の情報を伝えて上司の正しい判断を促す
○後輩(現場)に上司(上層部)の判断と作戦を伝え、最適な形で後輩(現場部隊)を動かす

板挟みは本当に気を使うものです、先ほどのシャア(クワトロ)とウォン・リーのやり取りは、大げさ過ぎず仕事でも使えそうないい例に思えます。



同僚を認め、協力を得る技術

協力を要請するクワトロの意思表示
「ありがとう。皆の協力があってこそ成功したんだ」
ダカールの演説に成功したのち、作戦成功を祝う席でクワトロはこう皆に語りかけます。
自らが優秀であるために、一年戦争では平凡な見方兵士を軽んじるそぶりがあった赤い彗星とは、とても同一人物とは思えない細やかさです。
クワトロの人間関係術には、もうひとつ特徴があります。
重要な課題について「共感を得ながら」皆と共有する姿勢です。
彼は優秀な人物の前で素直に頭を下げ、協力が必要だという姿勢を明確に示しているのです。
中略)
こうしたクワトロの姿勢から、人を本当の意味で動かすには、
○相手に対する素直かつ、心からの敬意
○成功にはあなたの協力が必要なのだという真摯なメッセージ
この2つが何より大切であることがわかります。
Chapter5 プレイングマネージャーシャアの人心をつかむ技術 p137〜p147

先輩にとっての同僚の中にも、もちろん能力に違いも差もあります。

大切なポイントは、「素直に頭を下げ、協力が必要だという姿勢を明確に示す」部分です。

新社会人が育つ環境は、人間関係が落ち着いているに越したことはありません。

後輩指導を任せた上司も、新社会人が落ち着いて仕事に取り組めるように、先輩同士も協力し合うことを求めているはずです。

性格が苦手な同僚も、借りを作りたくないライバルも、いまいち仕事の能力で信頼できない同僚もいるでしょう。

その中でも、先輩自身が頭を下げて協力を得られるか。

よほど、先輩自身が嫌われていない人間関係なら、半分くらいの協力は頭を下げるだけで得られるのではないでしょうか?

経験から付け加えさせていただくと、頭を下げるのは何の「コスト」も「労力」も必要としませんよ。

相手の強みがわかるのは自分の弱点を知ったから
「自分一人でできることの限界」を味わった一年戦争の経験から、クワトロ・バジーナ(シャア)は周囲とのかかわり方を大きく改善し、人をあるがままに認め、彼らを共感で巻き込みながら全員の能力を引き出しています。
※Business Point
人は自らの弱点を知らない時、相手の欠点ばかりが目に映る。
シャアは自らの弱さに気づいたことで、周囲の人物の「優れた点」を発見できるよくになった。
Chapter5 プレイングマネージャーシャアの人心をつかむ技術 p137〜p147

人には、得意なこともあると苦手なことももちろんあります。

最近の職場は、表面的なやり取りが多くなっているためか、得意なことを仕事で生かせる人は「できる人」、苦手なことが仕事に影響する人は「ダメな人」と単純に分けられがちです。

先輩自身にも、仕事で目立たないだけで苦手なことはありませんか?

ご自身の苦手なことに気づき、受け入れられることが大切です。

自分のことを受け入れられると、きっと人のことも受け入れられるようになりやすい。

私はそう思います。

上司の方は、後輩指導を通して、先輩自身も自分の仕事を見つめ直し、成長してくれる期待を持っているはずですよ。



後輩指導の役目のある若手ビジネスマンにおすすめ


鈴木博毅『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』は、後輩指導の役目のある若手ビジネスマンにぜひおすすめしたい本です。

おすすめの理由は、著者と内容の信頼性、イメージのしやすい実用性、後輩指導の全体像が捉えられる内容で書かれているためです。


タイトルはアニメでも内容はとても役立つビジネス書

『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』は、タイトルや表紙のデザインはアニメの解説本のように見えますが、著者も書かれている内容も「ちゃんとしたビジネス書」です。

ちゃんとしている以上に、著者はビジネス戦略コンサルタントとして多くの企業と関わった実績があり、とても信頼できる1冊ですよ。


イメージがしやすく実用的

おすすめの1番の理由は、「具体例がイメージしやすく実用的」な点です。

もちろん、原作のガンダムのシャアをご存知の方は例に上げているシーンはイメージしやすいでしょう。

原作を知らない方でも、会話やイラストで先輩(シャア)と新社会人(カミーユ)のやり取りが紹介され、実際の仕事の内容に当てはめて解説されています。

イメージがしやすいということは、「すぐに活用しやすい」ことでもあります。

今回紹介させていただいた内容の他にも、後輩指導に役立つポイントが数多く解説されていますよ。


3つの視点で後輩指導の全体像が見える

後輩指導というものを、「先輩自身」「後輩の求めること」「上司の期待すること」の3つの視点で取り上げてみました。

中でも、先輩と後輩、先輩と上司など2つの視点で書かれている本は多く見かけます。

3つの視点を合わせると、後輩指導かわ職場の中でどのような役割になるのかが理解しやすくなります。


後輩指導の役割を担う、若手の先輩。

長年、新社会人と関わってきて今までの方法を改めたい方におすすめしたい1冊です。

机に置いてある本を見かけた上司に、「ガンダムの本を仕事中に読むとは…」と言われてしまったら、著者の紹介をして内容を紹介してあげてください。

実際に手に取って読んでもらうと、さらに納得されるはずですよ。

それとも、上司に当たる年代の方はガンダムやシャアを知っている方が多いので職場で活用されることになるかもしれませんね。

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