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仕事で限界を突破する力を身につける本〜異端のすすめ 橋下徹

異端のすすめ 強みを武器にする生き方

異端のすすめ 強みを武器にする生き方 (SB新書)



著者 橋下徹
出版社 SBクリエイティブ株式会社
分類 ビジネス書、一般教養
出版日 2020/2/15
読みやすさ ☆☆★読みやすい


今回のビジネス書は、元大阪府知事の弁護士 橋下徹さんの『異端のすすめ』です。

仕事で限界を突破する「異端力」を、「強み」「量」「スピード」の3つの視点で解説されています。

20〜30代の方に役に立つビジネス書ですよ。

異端力を実現した橋下徹


30代でお茶の間の弁護士さんとして世の中に知られるようになり、いつしか大阪府知事にまで上り詰めた橋下徹さん。

世の中でご自身の信念を貫いた1人なのは、間違いありません。


お茶の間の弁護士から大阪都知事へ


最近、橋下徹さんをテレビで見かけると、ふと2000年代前半の「行列のできる法律相談所」が随分昔のように思えます。

茶髪にTシャツの若々しい橋下弁護士が痛烈な持論を持ち出し

人情派の丸山弁護士が人生論を語り

クールな北村弁護士が法律に基づいてキッパリ解説

それを微笑ましく見守るお母さんのような角田弁護士

当時、情報番組とバラエティの区別もついていない若者だった私は、家族で談笑しながら橋下さんの登場を楽しみにしていました。

橋下さんは、その後2008年に30代で大阪府知事になってから、2015年まで大阪府の大改革を成し遂げました。

そして今では、10代の若者に未来を語る優しいおじさんの姿、政治家を痛烈に批判する若々しい姿がとても似合っているように思えます。


他の本の紹介

橋下徹さんは、政治や法律に関する本を多く執筆されています。

今回、取り上げさせていただいた『異端のすすめ』がビジネス書でもあるので、ビジネス書をいくつか紹介させていただきます。


『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』橋下徹
交渉力 結果が変わる伝え方・考え方 (PHP新書)


橋下徹の問題解決の授業―大炎上知事編』橋下徹
橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編



『異端のすすめ』の構成と読みやすさ


『異端のすすめ』は、2019年4月に開催された橋下徹さんの講演会を基にした読みやすい新書です。


『異端のすすめ』は7章構成

・はじめに p3〜p7
・第1章 突き抜けるには、リスクを取れー限界を突破する力 p14〜p54
・第2章 自分の商品価値を高めよーこれからの時代に求められる異端力 p56〜p86
・第3章 物怖じすればチャンスは終わるー最速で成長する力 p88〜p118
・第4章 「情報マニア」になってはいけないーその他大勢から抜け出す思考力 p120〜p149
・第5章 合理的に人と付き合えーどんな相手にも負けない駆け引き、交渉力 p152〜p170
・第6章 批判と侮辱を同一視してはいけないー他人に振り回されない対人力 p174〜p190
・第7章 心から納得できる人生を生きるー一切後悔しない行動力 p192〜p219

『異端のすすめ』では、第1章と第2章で「異端力」というものを具体的に解説され、残りの章で実践方法の例で説明する7章構成の本です。


公演を聞いているような読みやすさ

『異端のすすめ』は、橋下さんの公演を基にした本です。

2019年4月「橋下徹特別講演会〜自分で限界を作るな!!やってみなきゃわからない」

本の中でも、元気な橋下さんが聞き手を圧倒するように語りかけてくれる印象を受けます。

話し言葉で書かれているため、普段読書をされない方でも休憩をしながら半日くらいで読み切れると思いますよ。



異端力ってどんな力?〜異端力は突破力


本のタイトルにもある「異端力」

ネガティブな言葉がポジティブに聞こえてくる不思議な響きですよね。

異端の辞書的な意味は、「正統から外れたこと」「その時代において正統とは認められない思想・信仰・学説などのこと」とあります。

異端児とも言われた橋下徹さんは、異端力をこう書かれています。

「限界を突破する力」
・はじめに p3

橋下さんらしい、力強いメッセージが込められていますね。

『異端のすすめ』には、異端力を発揮する具体的な方法がまとめられていましたよ。


異端力の3つのポイント〜「強み」「量」「スピード」


『異端のすすめ』では、仕事の中で限界を突破する力 異端力を実現するために「強み」「量」「スピード」の3つが大切と繰り返し書かれています。


「強み」はいくつも身につける

強みを増やす、カードを増やすというと、「まず自分の軸を定めることが大事だ」などという声が聞こえてきそうですが、僕は、そうである必要はないと考えています。
その発想だと、ともすれば自分に限界を設けたり、特定分野だけにこだわりすぎて視野が狭くなったりと、巡ってくるチャンスをかえって狭めてしまいかねないからです。
一つの強みだけをひたすら追求する時代は、もう終わったといっていいでしょう。この流れは、今後さらに加速していくはずです。
だとしたら、いっそ節操がないというくらい、いろんなことに触れて、チャレンジしてみた方がいいのです。
・第1章 突き抜けるには、リスクを取れー限界を突破する力 p28

橋下さんは、強みは「足し算」ではなく「掛け算」で考えるべきといわれます。

世の中の求めることが次々と移り変わる現代。

コミュニケーション力が求められていたかと思うと、インターネットをうまく活用したオンラインの仕組みが求められるようになり、何が強みになるかわからない時代でもあります。

そして、SNSYouTubeなど、自分を売り出すツールはたくさんあると橋下さんは書いています。


最初は「量」をこなす

自分のウリに基づいた仕事は、圧倒的な量をこなせば、自然と質が上がっていきます。すなわち、ウリに磨きがかかってくる、ということです。質は量をこなすことによってこそレベルアップするものであり、質だけをレベルアップするのは非常に困難なのです。
・第2章 自分の商品価値を高めよーこれからの時代に求められる異端力 p56〜p86

これは、社会に出てある程度仕事をされた方なら実感していることでしょう。

初めから仕事の質を高めようとしても、ノウハウを身につけている先輩や能力がとても高い人にはかないません。

橋下さんは、量をこなすことのメリットをこうまとめていました。

「仕事の世界の定理」
①量をこなす
②ウリに磨きがかかる
③質が上がる
④商品価値が高くなる
⑤報酬単価が上がる

量をこなすことが仕事の質を高め、自分の商品価値が上がる。

フリーランスの方なら請け負う仕事の報酬が上がり、会社員の方なら給料やボーナスに影響するでしょう。


「スピード」を意識して仕事を先送りしない

掴んだチャンスを確実なものにするために、やろうと思えばすぐにできて、かつ非常に高い価値を持つことがあります。
それは「スピード」と「仕事の漏れがない」ことです。言い換えれば、「先送りする理由」がない限り、とにかく「今できることはすぐにやる」というのを徹底することです。
・第3章 物怖じすればチャンスは終わるー最速で成長する力 p103

「今できることはすぐにやる」

私が仕事をし始めた頃は、上司や先輩が「これはもう少し煮詰めてからだな」とか、「先に別の段階を経てから」といったことが多くありました。

今は、「早く済ませる」ことも立派な仕事の技術とされています。

橋下さんも、複数の仕事を同時に処理することができ、周囲からの評価が高くなるとまとめられていました。



20〜30代の方におすすめ


『異端のすすめ』の橋下徹さんからのメッセージは、私よりも若い20代の方に響くのかなぁと思います。

「何をしていいのか?」

「どうすればいいのか?」

「これでいいのか?」

答えは………

限界を突破する力を身につけること

私と同世代でも抱える悩みに、具体的に答えてくれる1冊でした。




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