『眠りの森』
著者 東野圭吾
出版社 株式会社講談社
分類 ミステリー小説
出版日 1992/4/15
読みやすさ ☆☆★読みやすい
日本を代表するミステリー作家 東野圭吾さんの紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
東野圭吾さんのミステリー小説の代表作「加賀恭一郎シリーズ」、今回は『卒業』から数年後を描いた2作目『眠りの森』を紹介させていただきます。
ドラマ『新参者』シリーズで阿部寛さんが演じる加賀刑事のイメージが強い作品ですが、ノスタルジックな舞台設定で描かれた原作も謎解きが楽しめる作品ですよ。
『眠りの森』の登場人物
『卒業』で国立T大学を卒業した加賀恭一郎は、30代に差し掛かり、父親と同じ警察官の道に進んでいた。
加賀恭一郎(かが きょういちろう)
警視庁捜査一課に勤務する若手刑事。
アジア人離れした彫りの深い顔立ちと、鍛え上げられた180cmの体にスーツをまとうと、屈強な刑事そのもの。
初対面の相手に威圧感を与えないため、白い歯を見せるはにかんだ笑顔、さり気ない気づかいと声かけで柔らかな印象を与えている。
整理整頓の行き届いた、都内の殺風景なアパートにひとで暮らす。
大学生の頃には会話も成り立たなかった刑事の父 加賀隆正(かが たかまさ)とは、手紙で僅かなやり取りをできるほどになっていた。
浅岡未緒(あさおか みお)
故郷の静岡県で5歳からバレエスクールに通い、高校入学に合わせバレエ団に入るために上京する。
バレエスクールで知り合った葉瑠子とは幼馴染で、都内のマンションでルームシェアをしながらプライベートもともに過ごす間柄。
昼休みも練習に打ち込むほどの努力家で、曲と一体化した正確な動き、感情の込められた変化のある活き活きとした踊りを得意としている。
高柳静子(たかやなぎ しずこ)
未緒と葉瑠子が所属する高柳バレエ団のオーナー。
世界的に注目されている養子の亜希子をはじめ、高い技術を持つダンサーたちを見守るバレエ団の母親的存在。
高柳亜希子(たかやなぎ あきこ)
二重まぶたの大きな目が印象的な、高柳バレエ団の華やかなプリマ・バレリーナ。
オーナー静子の養子で、幼い頃からバレエの英才教育を受ける。
指先から足先までのダイナミックな動きから、圧倒的な表現力を生む実力者。
国際的なバレエコンクールで入賞し、世界的にも注目されている。
幼い頃から培った技術に甘えず、その実力を裏付ける練習量でダンサーたちからは尊敬を受けていた。
暮らしの全てをバレエに打ち込む中、自分の中にある空虚感を自覚しながら過ごしていた。
柳生講介(やぎゅう こうすけ)
美少年がそのまま大人になった整った顔立ちの高柳バレエ団のダンサー。
練習で身につけた筋肉質な肉体を活かし、演目の王子役などダイナミックなダンスをこなす。
バレエ団に公表はしていないものの、葉瑠子と交際している。
斎藤葉瑠子(さいとう はるこ)
幼馴染の未緒とともに、故郷の静岡県で5歳からバレリーナを目指し日々の練習に打ち込む。
未緒と出かけたドライブで交通事故に会い、足を怪我してしまったことで、ブランクが生まれてしまう。
ブランク後はさらにストイックに練習に打ち込んでいたが、高柳バレエ団事務所に押し入った強盗を殺してしまい警察に身柄を拘束されてしまう。
梶田康成(かじた やすなり)
高柳バレエ団の振付師であり、演出家としてダンサーの育成と演目の構成を一手に支える。
練習の指導では厳しい言葉をかける一方、交渉上手でもあり、高柳バレエ団の運営に欠かせない存在。
物語の始まりは不慮の事件
それぞれの目標を胸に、若者がバレエに打ち込む高柳バレエ団。
公演を控えたある日、押し入った強盗犯を出くわしたダンサーが殺してしまうことに……。
正当防衛が成り立つのか、押し入った強盗犯の
正体とバレエ団との関係は?
豊かさと不便さの両立する世界観
物語の舞台は1990年代前半、日本が経済的に最も豊かとされていた時代。
ファミリーからひとり暮らしの若者宅にまで、固定電話と電話帳が置かれ、令和の現代よりも「ほんの少し不便」な暮らしと、ゆっくりとした時間の流れを過ごす世の中。
目標に向かって何かに打ち込み、取り返せる失敗も取り返せない失敗もある若者の選択は、時代を問わないのかもしれない。
キーワードは構成とポジション
組織、形、理論などを組み立てる意味がある構成。
ダンスやショーなどの演目構成では、表現上の素材を独自の手法で組み立て作品を作り上げるとされている。
また、役割や配置の意味で使われるポジションは、ダンサーの「位置、方向、姿勢」の基本とされるバレエ用語でもある。
人々の思惑と行動、そして重なった偶然が起こす事件なら、2つの言葉はどんな意味があるのだろうか……。
加賀恭一郎シリーズの紹介ページ
加賀恭一郎シリーズ)
1作目 『卒業』
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2作目 『眠りの森』
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3作目 『どちらかが彼女を殺した』
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4作目 『悪意』
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5作目 『私が彼を殺した』
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6作目 『嘘をもうひとつだけ』
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7作目 『赤い指』
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新参者シリーズ)
8作目 『新参者』
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9作目 『麒麟の翼』
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10作目 『祈りの幕が下りる時』
11作目 『希望の糸』