本当に本が読みたくなる読書のブログ

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日本橋で起きた事件に迫る加賀恭一郎シリーズ『麒麟の翼』東野圭吾

麒麟の翼』

麒麟の翼 (講談社文庫)

著者 東野圭吾
出版社 株式会社講談社
分類 ミステリー小説
出版日 2011/3/3
読みやすさ ☆☆★読みやすい
日本を代表するミステリー作家 東野圭吾さんの紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

東野圭吾さんのミステリー小説の代表作「加賀恭一郎シリーズ」、9作目の『麒麟の翼』を紹介させていただきます。

主人公の加賀恭一郎が日本橋署で働き始めた前作『新参者』から、加賀恭一郎シリーズは「新参者シリーズ」と呼ばれるようもなります。

麒麟の翼』の登場人物


主人公の加賀恭一郎は、日本橋に配属されてから、地域を知り、人々の暮らしに溶け込み、関わったことのある市民から信頼を置かれる刑事になっていた。

加賀恭一郎(かがきょういちろう)

日本橋署刑事 警部補。

暮らしの中でも、防犯活動を心がけ市民の暮らしを見守りながら過ごしている。

和やかな表情と持ち前の笑顔は、地域の市民に親しまれている。

日本橋署に配属された『新参者』の頃から、人形町を歩き回り、市民の交友関係から商店の品物まで町を知り尽くしている。


松宮脩平(まつみや しゅうへい)

警視庁 捜査一課の若手刑事。

加賀恭一郎の年の離れた従兄弟でもある。

叔父の加賀隆正(かが たかまさ)を慕い、刑事の心構えの台詞を口癖にしている。

隆正の法要を先延ばしにする恭一郎に、不満を持っている。


金森登紀子(かなもり ときこ)

都内の病院に勤務する30代の看護師。

2年前、病院で息を引き取った加賀隆正を担当していた。

死期を看取らなかった恭一郎、彼が取った奇妙な親子の関わりを察し、快く受け入れた隆正。

加賀親子が見せた、似た者同士の不器用な関係から、今生の分かれが片付いていないことを悟り三回忌を提案する。

百戦錬磨の刑事 加賀恭一郎もたじろぎほどの気迫を見せる。


青柳悠人(あおやぎ ゆうと)

日本橋の上で力つき、死亡が確認された「カネセキ金属」の製造本部長 青柳武明(あおやぎ たけあき)の息子。

都内の高校生に通い、中学校では水泳部に所属していた。

父親とは顔を合わせたがらず、親子関係に溝があった。


青柳遥香(あおやぎ はるか)

青柳武明の娘で悠人の妹。

中学校に通っている。

普段は父親の陰口を言っていても、心の中では慕っていた。


青柳史子(あおやぎ ふみこ)

青柳武明の妻で悠人と遥香の母。

会社の重役でもある武明の大規模な葬儀で喪主を務め、突然夫を亡くしたことで疲れを見せる。


八島冬樹(やしま ふゆき)

交通事故で昏睡状態が続く男性。

都内で起きたある事件に関係があるとされている。

工場で働くことが多く、口下手で人付き合いが苦手。

2年前に恋人の中原香織とともに上京し、経済的に厳しくても笑い合える暮らしをおくっていた。


中原香織(なかはら かおり)

八島冬樹と同じ児童養護施設で育ち、都内で同居する恋人。

介護の仕事につき、アルバイトを掛け持ちしている。

いつもの居酒屋で、冬樹の飲むビールにウーロン茶で付き合うのを楽しみにしている。

貧しくても夢を語り合う暮らしで、心は豊かだった。


杉野達也(すぎの たつや)

青柳悠人の中学校からの幼馴染。

中学校では、同じ水泳部に所属していた。


吉永美重子(よしなが みえこ)

青柳悠人と杉野達也と同じ水泳部員だった吉永友之(よしなが ともゆき)の母。

息子の友之は、クラブ活動中の事故が元で介護が必要な日々をおくる。


小竹由紀夫(こたけ ゆきお)

青柳武明が勤務する「カネセキ金属」の工場長。

本社の経営方針と、現場の板挟みに悩んでいる。




物語の始まりは厳しい取り調べを受ける加賀恭一郎


この世の別れを終えても、父親との関わりを避けようとする加賀恭一郎と向き合う金森登紀子。

現役刑事を取り調べる父親の元担当看護師、舞台は喫茶店の一席。

厳しい詰問を持ち前の話術で乗り切る刑事、逃すまいと鋭い視線を外さない看護師。

釈放の時間を知らせるのは、1本の電話だった。


情報過多時代の訪れ


デジカメが日用品の1つになり、ネットカフェは若者やビジネスマンの生活の一部になっていた。

ネット通販で見たことしかない商品を買うことができ、ネットニュースが若者に広まった2000年代後半が物語の舞台。

中高生が携帯電話で情報を簡単に得ることができる、情報過多時代が始まろうとしていた。




キーワードは容疑者と被害者


麒麟の翼』の見どころは、容疑者と被害者の関係だと思います。

物語の冒頭で起きた事件の容疑者は、前半の段階で加賀恭一郎らが絞り込んでくれます。

ただ容疑者と被害者に接点がなく、それぞれの背景を点と点で結びつけるストーリーに引き込まれるのは間違いないでしょう。

加賀恭一郎シリーズの中でも、前作『新参者』の登場人物や現場が描かれるところが、物語の世界が続いている新参者シリーズならではの世界観ですよね。




加賀恭一郎シリーズの紹介ページ


加賀恭一郎シリーズ)
1作目  『卒業』
www.yu-hanami.com
2作目  『眠りの森』
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3作目  どちらかが彼女を殺した
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4作目  『悪意』
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5作目  私が彼を殺した
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6作目  『嘘をもうひとつだけ』
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7作目  『赤い指』
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新参者シリーズ)
8作目  『新参者』
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9作目  麒麟の翼』
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10作目 祈りの幕が下りる時
11作目 『希望の糸』

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