『どちらかが彼女を殺した』
著者 東野圭吾
出版社 株式会社講談社
分類 ミステリー小説
出版日 1996/6/6
読みやすさ☆☆★読みやすい
日本を代表するミステリー作家 東野圭吾さんの紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
東野圭吾さんのミステリー小説の代表作「加賀恭一郎シリーズ」、3作目は独特のストーリー展開が魅力の『どちらかが彼女を殺した』を紹介させていただきます。
2作目の『眠りの森』から時代は進み、1990年代半ばの加賀刑事の活躍を描いた物語です。
『どちらかが彼女を殺した』の登場人物
『眠りの森』で若手刑事だった加賀恭一郎も、移動先で独自の捜査を進めるほど経験を積んでいた。
加賀恭一郎(かが きょういちろう)
練馬警察署、捜査一係の刑事。
警視庁から巡査部長として移動し、独自で捜査を進めるほど信頼されている。
歯切れのいい質問の中に、核心を突く罠を込めた事情聴取を身に着け、殺人など凶悪犯と向き合う。
疑わしい相手には、大学生の頃の剣道の試合で見せた鋭い目線を向ける一方、同性にも好感を持たれる白い歯を見せるはにかんだ笑顔も健在。
和泉園子(いずみ そのこ)
都内の大手電子部品メーカーの販売部に勤務する、20代後半の女性。
おっとりした性格と思われる反面、神経質で嫉妬深いこも自覚している。
同期入社の同僚が少なくなり、話題や好みの違う新入社員と打ち解けることもなく、ひとりで過ごすことが多くなっていた。
お昼休みに、路上で売られていた絵が気になり作者の潤一に食事と交換で譲ってもらうことに。
数日後に訪れた飲食店で、偶然再開した潤一と惹かれ合い交際することになる。
和泉康正(いずみ やすまさ)
園子の兄で愛知県警交通課に勤務する警察官。
両親が他界してからは、お互いが唯一の肉親になり、食事や健康のことを何かと気にかけ仕事の合間に電話をする妹思いの兄。
弓場佳世子(ゆば かよこ)
園子の高校時代からの親友。
大学入学後は容姿が派手になり、女優のような雰囲気をまとう女性。
卒業後はコネ入社したマスコミを退職し、保険会社で働いている。
心に決めた相手ができたら紹介すると、園子と約束していた。
佃潤一(つくだ じゅんいち)
ミュージシャン風の服装で、自分の絵を路上販売するアーティストの男性。
美術大学を卒業後2年で実績を出すことを両親と約束し、デザイン事務所を手伝いながら作家活動を続けていた。
見向きもされなかった自分の絵を気に入ってくれた園子に惹かれ、交際をはじめる。
物語の始まりは変化の大きい時代の心の変化
変化が大きい時代は、暮している人の心も不安定になりがち。
自分の外と内、求められることと求めること、安定を求めようとすればするほど、不安定になってしまう。
令和の時代でも、人の気持ちのバランスは変わらないのかもしれない。
価値観は変わらなくても変わりゆく世界
物語の舞台は1990年代半ば、バブルが崩壊し学生にとって正職員への就職は厳しさを増していた。
昭和半ばの価値観が根強く残っていた当時、結婚して家庭を持つことが若者に求められていた。
若者同士でも、容姿、勤務先、収入の高さと相手への愛情が天秤にかけられ、不安定に揺れていたのかもしれない。
事件の真相は?
【ネタバレ】ではありませんが、『どちらかが彼女を殺した』はリドル・ストーリー (riddle story) と呼ばれる物語の形式を取っています。
謎にたどり着けるかは、探偵になった読者次第の少しだけ上級者向けの作品ではないかなぁと思います。
加賀恭一郎シリーズの紹介ページ
加賀恭一郎シリーズ)
1作目 『卒業』
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2作目 『眠りの森』
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3作目 『どちらかが彼女を殺した』
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4作目 『悪意』
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5作目 『私が彼を殺した』
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6作目 『嘘をもうひとつだけ』
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7作目 『赤い指』
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新参者シリーズ)
8作目 『新参者』
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9作目 『麒麟の翼』
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10作目 『祈りの幕が下りる時』
11作目 『希望の糸』