本格ミステリ小説と日常ミステリ小説の違い
今回は、人気の小説のジャンルでもある推理小説がテーマです。
多くのジャンルがある推理小説の中でも、難事件の解決を描いた本格ミステリ小説、暮らしの中にある謎を紐解く日常ミステリ小説の違いに迫ってみますね。
本格ミステリ小説の中の日常ミステリ小説
本格ミステリ小説は、「謎解き」「トリック」「探偵の活躍」がストーリーの中心になる推理小説。
この3つの特徴に当てはまる作品なら、日常ミステリ小説は本格ミステリ小説のジャンルに含まれるのでは?
推理小説のジャンルを調べなおしていると、そう思えてなりません。
本格ミステリ小説と日常ミステリ小説の特徴
そこで、改めて本格ミステリ小説と日常ミステリ小説の特徴や分類をまとめてみます。
本格ミステリ小説の特徴
本格ミステリ小説は本格派推理小説・本格推理小説とも呼ばれ、推理小説の代表的なジャンルの1つです。
推理小説の中でも、「謎解き」「トリック」「探偵の活躍」がストーリーの中心になる作品。
本格ミステリ小説を提唱したと言われているのは、大正から昭和にかけての推理小説作家 甲賀三郎で、当時の本格ミステリ作家には江戸川乱歩、高木彬光、蒼井雄など日本の文学史に名前が残る作家さんを多く見かけます。
また、1980年代から1990年代にデビューされた綾辻行人さん、有栖川有栖さん、京極夏彦さん、森博嗣さんらの作品は「新本格ミステリ」と呼ばれ、時代によって区別することもあります。
日常ミステリ小説の特徴
日常ミステリ小説は、日常の謎とも呼ばれる「日常生活の中にあるふとした謎」を取り上げ、「謎が解明される過程」を扱った小説作品です。
日常ミステリ小説の先駆けは、『空飛ぶ馬』で知られる北村薫さん。
花水(hanami)が取り上げさせていただくことが多い、坂木司さんの作品も日常ミステリ小説に分類されています。
本格ミステリ小説と日常ミステリ小説の違い
本格ミステリ小説は、「謎解き、トリック、探偵の活躍がストーリーの中心」になる推理小説。
日常ミステリ小説は、「日常生活の中にあるふとした謎を取り上げ、謎が解明される過程」を扱った推理小説。
本格ミステリ小説と日常ミステリ小説に違いはあるの?といわれると、実は大きな違いはありません。
理由は、少しこじつけのように思えますが、本格ミステリ小説の中でも最近書かれる「新本格ミステリ」には殺人事件をテーマにする決まりがありません。
「謎解き、トリック、探偵の活躍がストーリーの中心」の推理小説であれば、日常ミステリ小説で取り上げられる日常の謎も本格ミステリ小説に含まれるからです。
本格ミステリ小説と日常ミステリ小説の作品
本格ミステリ小説と日常ミステリ小説に大きな差がないお話をさせていただいたところで、代表的な小説を取り上げさせていただきますね。
殺人事件がテーマの本格ミステリ小説代表作『D坂の殺人事件』
『D坂の殺人事件』江戸川乱歩
1924年に出版された『D坂の殺人事件』は、江戸川乱歩の代表作「明智小五郎シリーズ」の第1作目として有名です。
密室殺人事件に挑む探偵 明智小五郎の活躍、難解なトリックで読者に挑戦する本格探偵小説は日本の本格ミステリ小説の始まりになった作品。
新本格ミステリ代表作『邪魅の雫』
映画化・漫画化・アニメ化もされた、京極夏彦さんの『邪魅の雫』。
推理小説でありながら、妖怪がストーリーに関わる「百鬼夜行シリーズ」。
私立探偵の榎木津礼二郎、雑誌記者の鳥口守彦らが妖怪の成り立ちを紐解くことで怪奇事件の糸口を探る異色のミステリ小説。
私の場合たまたま漫画化された作品を読んでいたので、その後原作を読んだときに謎解きの仕組みがわかりやすい作品でした。
暮らしの中の謎がテーマの日常ミステリ小説代表作『青空の卵』
『青空の卵』坂木司
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日常ミステリ小説のジャンルでは、坂木司さんの『青空の卵』はドラマ化もされていて知られている作品だと思います。
取り上げられる事件は、誰かに迷惑はかかっても犯罪にならないか、なっても「注意を受ける程度」の出来事。
ですが、謎解きの推理はとても本格的です。
探偵役の鳥居真一は、犯人の行動から状況証拠を積み重ね、目撃情報などで裏付けを取る推理で追い詰めるタイプの名探偵タイプ。
細かく作品を読んでいないと見落としてしまう、ほんの小さな出来事が事件の決定的な証拠になる場面も珍しくはありません。
トリックは「普通の人」が考えられる程度ですが、日常の中で突然起こる謎のため状況証拠が揃いにくい中捜査は進みます。
警察や探偵ではなく「監視カメラ」や「目撃情報」が使いづらい
本格ミステリ小説という広いジャンルの中に日常ミステリ小説がある
本格ミステリ小説、ハードボイルド、歴史ミステリ小説、青春ミステリ小説、日常ミステリ小説と細かなジャンルに分かれている推理小説。
花水(hanami)の好きな日常ミステリは、他のミステリ小説とどんな違いがあるのかを調べてみました。
推理小説の中でも、伝統的な本格ミステリ小説は「謎解き」「トリック」「探偵の活躍」がストーリーの中心になる推理小説です。
日常ミステリ小説は、「日常生活の中にあるふとした謎を取り上げ、謎が解明される過程」を扱った推理小説とあります。
本格ミステリ小説は、「謎解き」「トリック」「探偵の活躍」の3つの条件に当てはまる作品なら殺人事件を扱わなくても当てはまる作品は多くあります。
日常ミステリ小説は、取り上げている事件は刑事事件にならない程度の暮らしの中にある謎を紐解くストーリー。
例えば日常ミステリ小説で有名な坂木司さんの『青空の卵』は、「謎解き」「トリック」「探偵の活躍」の3つの条件に当てはまります。
日常ミステリ小説の中で、探偵役が登場しなかったり、謎解きがあやふやになる作品を除いくと本格ミステリ小説のジャンルに当てはまる作品も多く見かけます。
本格ミステリ小説という広いジャンルの中に、日常ミステリ小説という細かなジャンルがあるということになるでしょう。
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