改めて純文学と大衆文学の違いを考える
芥川賞の純文学、直木賞の大衆文学として多くの方に知られている小説の2つの作風。
受賞年度によって、同時受賞もありますよね?
それなら違いはないのかもしれない?
そこで、小説のジャンルのシリーズ第3回は純文学と大衆文学の違いを取り上げてみました。
純文学と大衆文学
純文学と大衆文学には芥川賞と直木賞以外にも違いはあるのでしょうか?
純文学と大衆文学には、小説を書く作風に違いがありました。
純文学
純文学の日本での定義は、「学問のための文章でなく美的形成に重点を置いた文学作品」(北村透谷)とあります。
この定義は、明治時代に作家の北村透谷さんが言われたことですが、現代でも「芸術性」を重視した作品とされていることに変わりはありません。
大衆文学
純文学と比較して、作品の「娯楽性」を重視した作品が大衆文学と呼ばれています。
この「娯楽性」は、取り上げるテーマであったり、物語のストーリーであったり、登場人物のキャラクターであったりします。
かつては、物語のストーリーが読者に楽しみを持ってもらう内容であることが大衆文学の醍醐味でもありました。
そうなると、現代の小説のほとんどは大衆文学になってしまいますよね。
純文学と大衆文学の違いはいつから?
小説が純文学と大衆文学の2つに分かれたのは大正から昭和にかけての時代といわれています。
当時、作品の芸術性を重視していた作家さんに芥川龍之介がいました。
また、作品のストーリー(筋)の面白さを重視した作家さんに谷崎潤一郎がいました。
2人の作家の主張、小説に大切なのは「芸術性」か「ストーリーの面白さ」かでの対立が起こり、芸術性を重視した作品を純文学、ストーリーを重視した作品を大衆文学と分けるようになったといわれています。
その後の純文学と大衆文学
純文学は、第二次大戦の終わりから現代までに推理小説やSF小説の世界観を取り入れ、ストーリーを重視した作品も多く見られるようになりました。
また、大衆文学でも純文学の芸術性を取り入れた作品を書く作家さんも増えてきたといわれています。
そして、現在では純文学と大衆文学の明らかな境界線はほとんどなくなり、曖昧になりつつあるといわれています。
また、大衆文学からは推理小説、SF小説、経済小説など多くの小説のジャンルが生まれました。
多くのジャンルが生まれたことで、大衆文学という小説のまとまりはなくなりつつあるようですね。
純文学と大衆文学の違いのまとめ
芥川賞の純文学、直木賞の大衆文学として知られていた小説の違い。
純文学と大衆文学には、作風が「芸術性」を重視するのか、「ストーリー(筋)」の面白さを重視するのかで違いがありました。
大正から昭和初期にかけて生まれた純文学と大衆文学ですが、現代では境界線が曖昧になりつつあります。
そして、大衆文学からは多くの小説のジャンルが生まれ、大衆文学という1つのまとまりはなくなりつつあります。
改めて調べてみると、普段何気なく読んでいた小説にも歴史はあったんだと思えてきましよね。
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