『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』
著者 枡野俊明
出版社 株式会社三笠書房
分類 実用書、考え方の本
出版日 2024/6/5
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
今月は、2冊目の考え方の本を紹介させていただきます。
変化の多い春には、悩みごとも増えがち。
お坊さん作家さんの本の中でも、悩みごとを「引きずらない力」と「切り替える力」が身につく本を選んでみましたよ。
- 『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』
執筆数100冊を超える著者 枡野俊明
『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』は、お坊さん界でも屈指の執筆数をほこる枡野俊明さんが仕事と人間関係の悩みごとにヒントをくれる考え方の本です。
シンプルな4章構成と見開きでとても読みやすい
本の構成と読みやすさはというと、ページ数に比べてとても読みやすく書かれています。
シンプルな4章構成
・はじめに p3〜p7
・1章 「人間関係」をこじらせない p18〜p67
・2章 「仕事」で悩んだらこう考える p70〜p119
・3章 心と体の上手な「リセット術」 p122〜p171
・4章 禅語に学ぶ「切り替える力」 p174〜p221
『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』は、4章構成です。
1章と2章で人間関係と仕事の悩みを取り上げ、3章と4章の「偏らない考え方」と「今に集中すること」で「引きずらない力」と「切り替える力」を身に着ける方法が書かれています。
見開き2ページに1つのテーマが読みやすい
本の内容は、考え方の本に多い見開き2ページに1つのテーマが取り上げられています。
右側のページには悩みごとの例や格言、左側のページに解説になっていて通勤時間やスキマ時間に読み進めやすく書かれています。
悩みごとを引きずってしまうのは、変化を受け入れるのが苦手だから
悩みごと、引きずる方ですか?
私は、割と引きずる方ですよ。
なぜ、悩みごとは引きずってしまうのでしょうか?
ヒントは仏教の基本的な教えにありました。
変化が起こるのは当たり前
諸行無常(しょぎょうむじょう)
自分を取り巻く環境も、毎日の出来事も、常に変化しています。
ところが人間というのは、なぜか「変化」を受け入れるのが苦手です。うまくいっているときも、うまくいっていないときも「この状況がずっと続く」ように思い込みがち。「無常」に逆らう考え方をしてしまうのです。
・4章 禅語に学ぶ「切り替える力」 p198〜p199
諸行無常の教えは、お坊さん作家さんの本で必ずといっていいほど取り上げられる仏教の基本的な考え方でもあります。
世の中も自分の周りの環境も、常に変化し続けているという考え方です。
それでも、学生さんなら進学や進級、社会人なら異動や配置転換があると落ち着かないものですよね。
私も、変化は苦手です。
ただ、変化に逆らうほうがストレスが大きく、受け入れたほうが無理なく物事が進みやすいとも書かれています。
なかなか素直に取り組めることではありませんが、変化が起こるのは当たり前と常に備えていた方が安心できますよね。
不運と不遇は誰にでもあること
夏炉冬扇(かろとうせん)
誰しも「不遇の時代」はあります。そういうときは持てる能力を発揮できず、悔しい思いをするでしょう。自分の描く将来にとって、ムダな経験をさせられているように感じるかもしれません。
けれどもそこで腐ったら、それまでのこと。自己研鑽を怠らず、なすべき仕事をコツコツとやっていれば、やがて自分の能力が必要とされる日はやってきます。積み上げた経験を存分に生かせるときがやってくるのです。
・4章 禅語に学ぶ「切り替える力」 p192〜p193
不運と不遇、私にもありましたし、またこれから起こるかもしれません。
何とかしようとしたことが裏目に出たり、1つの悩みごとを解決していないのに次々と問題が起こる……。
実は自分だけに起こっているようにみえて、誰にでも「不遇の時代」は起こるもののようです。
受け入れるポイントは、目の前のことにコツコツ取り組むことと書かれています。
目の前のことに取り組み続けることで、不運な原因を考える時間も忘れさせてくれるはずですよ。
引きずらない力を身に着ける「偏らない考え方」
悩みごとを引きずる理由が分かったところで、解決方法を探ってみます。
偏らない「ほどほど」を心がける
仏教は「中道の精神」を重んじます。「何事も極端に偏ってはいけない。ちょうど真ん中くらいのところを意識しなさい」説いています。
中略)
心身の不調を感じている人はとくに、何かの「やりすぎ」を疑ってみてください。それで「少し偏っている」と感じたら、自分自身に、「ほどほどに。ほどほどに」と声をかけましょう。
そうして「やりすぎ」を抑えながら、「ほどほど」の感覚がつかめれば、心身に負担をかけてがんばりすぎることがなくなります。
・3章 心と体の上手な「リセット術」 p142〜p143
「中道」という教えも、お坊さん作家さんの本ごとに例えを変えて紹介されています。
ひとことでまとめると、「何事も偏らない」ように行動することです。
例えば食べ物に例えると、好き嫌いです。
好きなものは毎日食べたくて、嫌いなものは何があっても食べないというのではなく、好きな物も何日かおきに、嫌いなものも食べる機会があったら食べるといったことから始めてみてはいかがでしょうか?
損得よりもご縁
いちいち損得勘定をするより、「縁」に従うのが一番いいと、私は思います。
たとえば仕事は、いただいた順に引き受ける。条件のいい・悪いを問わず「先にいただいた」というご縁を大事にして一生懸命取り組んだほうが、物事はいい方向に進むものです。
中略)
いただいたご縁は、いうなれば「幸福の種」。大事に育てることで、やがてすばらしい実を結ぶのです。
・3章 心と体の上手な「リセット術」 p161〜p162
最近の仕事は、効率化や時間と労力と見合うコスパが求められ仕事を選ぶことも社会人の能力と見られています。
いくつか仕事が立て込んだ時、私も早く終わる順、影響が大きい順に仕事を選んでいます。
このお話で、先に選ばれなかった方はどんな影響があったのだろう?と振り返るきっかけになりますよね。
自分に裁量のある仕事で、先に行わないと影響が大きいもの以外は、いただいた順に引き受けることを心がけてみようと思います。
切り替える力を身につける「今に集中する」方法
悩みごとを引きずらない方法の次は、気持ちを切り替える力です。
ストレスが多い世の中で必要な技術ですよね。
今いる場所は修行の場所
今の仕事や職場に不満があるなら、まず「自分を輝かせる努力が足りないのではないか」と自分を疑ってください。そう気持ちを切り替えると、今の仕事にまだまだ努力の足りないところがあると気づきます。そこに新たなやりがいが見いだせるはず。その瞬間、あなたのいまいる場所が黄金に輝き始めるのです。
・2章 「仕事」で悩んだらこう考える p96〜p97
学生さんなら第1志望に落ちて第2志望の学校に通うことになった、社会人の方なら希望していない部署に異動になり、今いる場所に不満が出るのは珍しくはないことです。
今いる場所に不満を募らせるよりも、今いる場所は修行の場所と思いできる事に取り組む考え方を身につけたいものですね。
今に集中すること
深知今日事(ふかくこんにちのことをしる)
この考え方に立つと、すでに過ぎ去り変えることのできない過去のことでクヨクヨしたり、これなら新たにつくられていく未来のことをあれこれ心配したりするのは、意味のないことだとわかります。
過去を引きずり、未来を憂えるようなときは、この禅語―「深く今日の事を知る」を唱えてみましょう。すぐに思考が「目の前のことに全力を尽くそう」というふうに切り替わるはずです。
・4章 禅語に学ぶ「切り替える力」 p186〜p187
過去の出来事を思い返すこと、私は良くあります。
思い返すと悩みごとが多いのは、「今の悩みごと」+「過去の出来事」+「先のことの心配」を一緒に考えているからなのかもしれません。
ひとまず目の前のことに全力を尽くす。
そうすることで、今の悩みが解決しやすいのかもしれません。
変化に疲れてしまう人におすすめの本
『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力 もっと「鈍感」でいい、99の理由』の紹介、いかがでしたか?
「偏らない考え方」と「今に集中すること」が「引きずらない力」と「切り替える力」を身につける方法、全ては難しくても何か1つ試したくなる1冊だと思います。
それでは、枡野俊明さんのお話で紹介を締めくくらせていただきますね。
真玉泥中異(しんぎょくでいちゅうにいなり)
誰もが内包している「仏性」は、どんな状況でも常に輝いているのです。落ち込むのは後回しにして、いまこの瞬間、自分には何ができるのかを考えましょう。
そういう姿勢で目の前のことに力を尽くせば、やがて状況は好転し、自分本来の輝きが“目に見える形”で蘇ってきます。自己嫌悪に陥りそうになったら、ぜひこのことを思い出してください。
・4章 禅語に学ぶ「切り替える力」 p212〜p213
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