こころを磨くSOJIの習慣
著者 松本紹圭
出版社 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
分類 実用書、思想と哲学・考え方の本
出版日 2019/7/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
掃除(SOJI)をテーマにした仏教の考え方の本。
第2回は、掃除が教えてくれる大切なこと。
14の大切なことの中から、私が例を上げやすい3つを選んでみました。
掃除が教えてくれる14の大切なこと
掃除は、人生で大切なことをすべて教えてくれます。
・習慣の力。
・ありのままに見ること。
・目的思考から離れること。
・頭でっかちにならないこと。
・良い悪いの価値判断から離れること。
・「これでいいのだ」を知ること。
・優越感や劣等感を捨てること。
・予測外のことを受け入れること。
・何者にも依存しないこと。
・周囲と調和すること。
・思い通りにならないことを知ること。
・褒められても動じないこころを養うこと。
・人間関係を整えること。
・自己中心性から離れること。
p20〜p21
『こころを磨くSOJIの習慣』には、仏教の教えに沿って掃除で身につく大切な14の考え方を紹介されています。
掃除で身につく考え方の基本は、「いい習慣」がを続けるということ。
習慣は、繰り返し続けなくては身につかないものです。
写経や座禅・瞑想など、仏教の考え方を学べる習慣はいくつかありますが、家で取り組めても敷居が高いものです。
掃除なら、普段の暮らしの中に元々あって、私たちがいつも取り組んでいること。
こころクセを掃除する方法
物事を悪い方にばかり考えてしまうマイナス思考。
逆に楽観的過ぎて、予想していなかった失敗をしてしまうこともあります。
どちらも、極端に偏った考え方と気持ちによるもの。
松本紹圭さんは、掃除をすることで偏った「こころのクセ」を見つめることに役立つと書かれています。
自分のモノサシ〜先入観をなくす
私たちは価値判断のモノサシを持っています。それは、個人的なものから社会的なものまでさまざまで、場面によって使い分けています。このモノサシを当てることによって、物事の良い悪いを決めているのです。
しかし、このモノサシにしばられて生きていると、良い悪いという判断にとらわれて、ものごとをそのままに受け止めることができなくなってしまいます。
このモノサシを手放すには、頭で考えてばかりでは、かえって袋小路にはまってしまいがちです。動いてみるのが最適の方法です。ほうきで掃いたり、雑巾で磨いたりと一定のペースで進みます。その動作そのものは複雑ではありませんので、何かにとらわれてしまうようなことにはなりません。そして、1つ1つの動作に気づきながら行うことができます。
p116〜p117
価値判断のモノサシ、これは私たちの性格の元になっている価値観にも思えます。
大人になって、さらに年齢を重ねてからでは、価値観を変えることは難しいでしょう。
それでも、先入観だけなら変えることができるはずです。
先入観そのものはなくなることはないので、新しい出来事が起きたとき、先入観のモノサシをそっと脇に置いて、ありのままの
完璧主義から離れる
掃除も含めて、あらゆるものごとに完璧はありません。完璧主義になると、理想と現実が大きくずれて、ちょっとしたことで燃え尽きてしまう危険が高まります。そうなると、生きづらさが増すでしょう。
掃除を行うことで「これでいいのだ」と区切りをつける練習になります。
完璧を目指すのではなく、自分なりの基準をつくることで、「これでいいのだ」という満足した生き方ができるものです。
p120〜p121
完璧主義は、私がかつて繰り返していたこころのクセでした。
私の場合、数年前までの仕事への向き合い方でした。
趣味も思い返してみると完璧主義に偏っていたのかもしれません。
幸い、暮らしや仕事の環境が変わったことや考え方の本を多く読んで実践したこともあって、燃え尽きずに済みましたが…。
そのまま全力疾走のように暮らしていたら、どうなっていたことでしょう。
こころのクセと向き合う
掃いても掃いてもこころに積もってくるもの。それがこころのクセであり、言い換えるならば「煩悩」です。掃除を通して、このこころのクセと向き合うことができます。
中略)
こころのクセを持つことが悪いということではありません。「ああそうか、今までそれにずいぶんととらわれてきたけれども、そうじゃなかった」とひとつ気がつくだけで、ちょっとこころが軽くなりますそれが掃除のひとつの効果です。
p132
掃除のたびに、1つのこころのクセに気がつき、「こんなクセもあるんだな」と振り返ることができる。
松本紹圭さんが勤めておられるお寺では、「テンプルモーニング」という朝の掃除の活動に年齢も社会的な役割も違う多くの方々が参加されています。
掃除は、1つ1つの動作に集中することで、自分のこころと向き合うことができる効果があるといわれています。
私も普段の掃除で水回りを磨きながら、気がつかないうちに偏ってしまったこころのクセを見直していきたいですね。
日本の3s、sushi、samurai、soji
英国の新聞記者さんから、「英国では多くの人が掃除の作業を誰か他の人に外注しています。それではいけないのですか?」と聞かれたのです。
これに対し、私は「掃除は修行です。単なる作業とは違います。あなたは坐禅や瞑想を、お金を払って他の人に自分の代わりにやってもらいますか?」と尋ね返しました。答えはもちらん、ノーでしょう。
それ以来、私は掃除を無理に外国語に訳すのはやめて、掃除という日本の言葉をそのままの「soji=ソージ」として、海外で説明することにしています。
p10
著者の松本紹圭さんは、海外でも活動されるお坊さんです。
海外、中でも英語圏では掃除は1つの仕事と考えられていて、効率化が求められます。
自分たちで掃除をするコスパが見合わないなら、業者に頼むか掃除ロボットを購入してすませるのが当たり前なんですね。
掃除は自分と向き合うことができる手軽な修行の1つ。
世の中に掃除を通した活動を広めたい松本紹圭さんは、掃除を英語の「sweeping」「cleaning」に訳して伝えるのではなく、「soji=ソージ」という言葉で伝えるようにされていると書かれていました。
sushi=寿司、samurai=侍、そしてsoji=掃除の日本語が、いつし日本の3sになるのも遠くはないのかもしれません。
掃除で自分を振り返るのも1つの方法
人間関係が複雑な世の中、仕事では自分の能力の限界を求められる働き方。
世の中はストレスで溢れかえっています。
毎日が忙しく、世の中に生き辛さを感じている人には、『こころを磨くSOJIの習慣』をお勧めしたいです。
毎日が忙しい人
考え方の本には、ストレスに効果のある多くの取り組みが紹介されています。
その中で掃除は、普段から取り組んでいること。
忙しい方でも、家の掃除や職場の掃除のときに取り組むことができます。
世の中に生き辛さを感じる人
書かれている内容で、難しい取り組みはありません。
上手に掃除をする必要はないとも書かれています。
世の中に生き辛さを感じている方、まずは掃除から始めてみてはいかがでしょうか?
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