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ビジネスマン黒田官兵衛は令和の時代で何を読むのか?

黒田官兵衛と読書

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「あの人なら何を読むシリーズ」

生きていた時代の違う偉人の「あの人」が、もし令和の現代にタイムスリップしたなら「どんな本を読む」のかをテーマにしたシリーズ。

第4回は、岡田准一さん主演の大河ドラマ軍師官兵衛』の主人公 黒田官兵衛に登場してもらいます。

戦国武将の中でも、「いかにも本を読みそうな」1人ですよね。

黒田官兵衛が令和にタイムスリップ

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「黒田、釈放だ。不起訴に決まったそうだ」

牢番が鍵を開ける音で目が覚めた、畳が敷かれた座敷牢、牢番の西洋のような服装に聞きなれない言葉。

受け取った荷物は着物が1着と書状が詰め込まれた革の物入れ、小さな物入れには『有限会社 黒田薬局 社長 黒田官兵衛』と書かれた小さな紙。

似顔絵の書かれた、少々硬い紙にも同じことが書かれている。

私が牢に入れられてから何かあったのか?

情報が多すぎる、「今、必要な情報」は服装が変わったことではない。

「社長、お待ちしておりました」

「お痩せになられましたなぁ」

「善助(栗山利安)、太兵衛(母里友信)?」

思わず声が漏れてしまったが不審がられてはいない。

それもそうだ、彼らが胸に付けた似顔絵付きの紙には、こう書かれている。

『黒田薬局 営業部長 栗山“まごころ1番の ぜんすけ”』
『黒田薬局 営業部主任“無理は承知でお任せください たへえ”』

『社長』というのは、私がいる黒田薬局という家の“長”ということなのだろう、大きくは変わってはいないようだ。

「今、九郎(井上之房)が車を回してきますので」

善助が言い終わらない内に、『車』という勝手に動く籠が現れたが……これがなぜ動いているのかは「今、必要な情報」ではない、いずれ分かることだ。

『黒田薬局 総務部長 井上“何事も誠実にこなします くろう”』

九郎が手綱を握る籠は、馬よりも早い。

「姫路のご家族にお会いしたいでしょうが、秀吉さんが三木の営業所においでなのでそちらへ向かいます」

「秀吉様が三木に、(三木は確か別所が籠城していたはず)。善助、三木はどうなっている?」

「我らの店舗が別所スーパーの営業エリアを囲んでおり、周囲の顧客はこちらに流れています」

「全く、社長の見通し通りですな」

店舗とエリアいうのは…まぁいい、とにかくこちらの陣営が三木を囲んでいるということか。


「官兵衛!不起訴になってよかった、私は信じていたよ。官兵衛が不正をするはずがない。間違いないとな」

秀吉様のように見えるが、『織田グループ 中国支社長 羽柴』と書いてある、どうやら身なりや道具は変わっていても立場は大きく変わってはいないようだ。

「羽柴様、私がいない間、形成はどうなっておりましたか?」

「ああ、官兵衛が毛利財閥とのインサイダー取引疑惑で逮捕された後、こちらは本社の資金で荒木有岡フーズの提携先 高山製菓と中川酒造を買収して追い詰めた。荒木有岡フーズは倒産、社長の荒木は夜逃げ同然で失踪したという。もう知っていると思うが、インサイダー取引の疑惑は小寺商店街と荒木のでっち上げだった。君には苦労をかけた、この通りだ」

「頭を、上げてください羽柴様」

どうやら私は、嘘の疑惑で捕らえられていた、そして有岡城の荒木は失脚、三木城は落城寸前。

こちらが優勢、予想していた通りいきさつは大きく変わらない、後は情報か………。


史実の通り、有岡城荒木村重に幽閉されていた黒田官兵衛

目を覚ましたのは、令和の拘置所

身の潔白が証明され、戻った先は織田グループと毛利財閥が事業展開を競い合う現代の兵庫県だった。

織田グループの傘下に入った、黒田薬局の生き残りをかけた戦いが始まろうとしていた。



黒田官兵衛の現代での立場

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冒頭でも書かせていただいたように、黒田官兵衛の現代での立場は黒田薬局社長。

商店街の中の1つの薬局から、大企業を動かすまで上り詰める人生でした。


10〜20代は地域密着の黒田薬局の2代目若社長

黒田官兵衛が生まれた兵庫県(播磨)は、古くから中小規模の侍がしのぎを削る地域でした。

黒田家は、地域の中規模会社 小寺家に仕える立場。

今の時代なら、地域密着の小寺商店街の黒田薬局といった立場でしょう。

10代の官兵衛は、小寺の殿様の近習(秘書)として仕えることになります。

ですが、官兵衛がまだ10代後半の頃、父親の黒田政孝が若くして社長を引退。

後を継いだ官兵衛が、黒田薬局2代目社長になります。


30代は時代の流れに乗るコーディネーター

当時の兵庫県は、西に毛利財閥、東からは驚異的な事業拡大を目指す織田グループに挟まれていました。

この頃の黒田官兵衛は、精力的にビジネスマンとしての腕を磨き実績を積み上げていきます。

兵庫県の多くの侍に織田家に味方するように説明して回り、現地に出向してきた豊臣秀吉を助けていました。

31歳の頃、攻め込んできた毛利軍5000人を500人で逆に退ける「英賀合戦」で兵庫県中に名前が知られるようになります。

時代の流れに乗って、大企業と地域を結ぶコーディネーターのような仕事だったはずです。

そんな官兵衛に今までの人生で最大の苦難が訪れます。

32歳の頃、大阪府の西側で織田グループの傘下にあった荒木村重が毛利財閥側に寝返ります。

説得に向かった官兵衛は、形式的に仕える立場にあった小寺商店街を裏切った容疑(小寺家が織田と黒田を裏切っていた)で有岡城に幽閉されてしまいます。

穴を掘っただけで「ほとんど屋外」の土牢に閉じ込められ、織田グループに人質として行っていた息子は処刑されたと聞きます。

それでも、めげずに耐えた官兵衛は有岡城が織田グループに攻撃された隙に、潜入していた家来に救出されます。

さらに、織田グループでの先輩 竹中半兵衛の計らいで息子も生きている奇跡も起こっています。

その後は、兵庫県を織田グループの傘下に置き、豊臣秀吉とともに岡山県に事業拡大を図ります。

そして、官兵衛36歳の時に本能寺の変が起こり、直属の上司 豊臣秀吉を織田グループのトップに押し上げるため、有名な「中国大返し」のプランをわずかな時間で考えつきます。


40代は大企業豊臣グループの本社幹部

本能寺の変の後は、毛利財閥とな後処理、四国や中国、九州を駆け回ります。

官兵衛が40歳の頃には、豊臣秀吉は織田グループの事業をそのまま引き継いだ「豊臣グループ」会長として全国の企業を傘下に収めていました。

さらに海外進出を進める豊臣秀吉は、中国に手を伸ばします。

ここで、官兵衛に再び苦難の時期が訪れます。

会長秘書兼総務部長の立場にある石田三成の画策で、反乱が疑われることに………。

日本の全てを納めるようになった豊臣秀吉は、かつて天下人にしたかった上司とは変わってしまいます。

ここが引退時と考えた官兵衛は、まだまだ働けた自分を抑え、引退を決意します。


50代後半で現役復帰、アルバイトを集めて事業拡大を目指す元気なおじさん

官兵衛に引退した後、豊臣秀吉は亡くなり、豊臣グループは本社幹部 石田三成、グループ企業で顧問筆頭の徳川家康のどちらがトップになるかが時間の問題でした。

いよいよ両者が動き出した後、九州で引退生活をしていた黒田官兵衛も動きます。

黒田薬局の社員のほとんどは、息子の現社長 長政とともに関東に出張中です。

官兵衛は、個人の財産でパート・アルバイト職員やフリーランスを集め、従業員数10000人規模の会社を立ち上げます。

国のためでも、上司のためでもない、自分の会社のために今まで培った全てを費やして九州制覇に乗り出すのでした。



黒田官兵衛の仕事と性格


【仕事】徹底した情報収集で組織の利益に徹するビジネスマン

【性格】仲間と平等に向き合う優しさ

【趣味】文学や芸術を楽しむ文化人


【仕事】徹底した情報収集で組織の利益に徹するビジネスマン

黒田官兵衛は、50代で現役復帰を果たすまでは大きな企業で働く立場でした。

先行きの危うい小寺商店街を織田グループの事業に参加させ、出向先に不慣れな豊臣秀吉をサポート、秀吉にとってピンチでもありチャンスでもあった中国大返しのプランを立てて、自分は毛利財閥との和解を取り付けています。

中でも、相手勢力の人間関係、目的の場所の地理や気候、経済の状況から市民の声まで情報収集は徹底していました。

集めた情報を元に働いている組織の利益に徹するビジネスマンの姿が思い浮かびます。


【性格】仲間と平等に向き合う優しさ

仕事に厳しい黒田官兵衛ですが、同僚や部下、上司にも優しい性格でした。

不祥事や失敗した部下を叱ることはあっても、1人も処分することがなかった武将でもあります。

さらに自分を裏切った上司の小寺氏や、1年間も監禁し足に障害を負わせた荒木村重に復讐することはありませんでした。

また、自分の持ち物を誰かに渡すときにも幾らかの代金を取っていたエピソードもあります。

一見、ケチに思えますが、「もらえる人」と「もらえなかった人」の差を作らないようにした官兵衛の配慮なのでしょう。


【趣味】文学や芸術を楽しむ文化人

黒田官兵衛というと、仕事一筋のビジネスマンというのが私のイメージでもあります。

ですが、引退した年齢が若かったこともあり、会社を息子 長政に譲ってからは古典文学を読み、茶道や園芸を楽しむ文化人でもありました。



黒田官兵衛なら今何を読むか

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いよいよ本題です。

戦国武将の中でも、「いかにも本を読みそうな」黒田官兵衛が令和の現代に現れたなら、何を読むでしょうか?

今回は、30代の官兵衛にタイムスリップしていただき、大企業の狭間で揺れる中規模企業 黒田薬局が兵庫県で出店競争を繰り広げる設定です。

官兵衛の3つの特徴に照らし合わせて選んでみました。

【仕事】徹底した情報収集で組織の利益に徹するビジネスマン

【性格】仲間と平等に向き合う優しさ

【趣味】文学や芸術を楽しむ文化人


時代が変わっても「優秀な人」にとって仕事の基本は変わらない

黒田官兵衛をひと言でまとめてしまうなら、「優秀なビジネスマン」。

徹底した情報収集で組織の利益に徹する官兵衛にとって、仕事の基本は変わらないはずです。

おそらく戦国時代でも読んでいたビジネス書を応用して、考えを広げてくれるでしょう。

老子の教え エッセンシャル版』
安冨歩


『【図解】超訳 孫子の兵法』
許成準

現代の情報収集のやり方は、官兵衛ならすぐに身につけられるでしょう。

戦国時代では、人づてや現地調査で調べていたやり方がインターネットに変わっただけですから。

情報を集める内に官兵衛は、「自然災害や感染症が経済に与える影響は大きい」ことに気がつくはずです。

そして、現代の自然災害を把握しておきたくなるでしょう。


『住んでいい町、ダメな町 自然災害大国・日本で暮らす』大木裕子


『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』田家康


いい人だから抱える悩みを解決する本

黒田官兵衛は、仲間と平等に向き合う優しさがある人です。

ですが、世の中には自分だけを大切にする人や差別的な考えの人、いい人を利用する心無い人もいます。

官兵衛も、周りとの付き合いや生き方に悩む一面を見せていました。

人間関係は、上手に工夫されることでしょう。

当時、具体的な考えのキリスト教を信じたように、抱える悩みを解決できる本を読むのかなぁと思います。

ブッダが死ぬ前に繰り返し説いた 悩みに強くなる考え方』鳥沢廣栄
www.yu-hanami.com

長編の純文学

戦国武将の中でも、文学好きな黒田官兵衛

幼い頃から、「源氏物語」を愛読していたことが知られています。

源氏物語が好きなら、長編の純文学を好むはず、そこでこちらを選んでみました。

海辺のカフカ村上春樹
※リンクは『職業としての小説家』


黒田官兵衛にまつわる現代の本


『風の如く 水の如く』安部龍太郎


黒田官兵衛はなぜ天下を取らなかったのか?』爆笑問題


黒田官兵衛の情報学』宮崎正弘


黒田官兵衛に学ぶ経営戦略の奥義 “戦わずして勝つ! "』福永雅文



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