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仕事の鬼 柴田勝家なら令和の現代に何を読む?

柴田勝家と読書

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大河ドラマ麒麟が来る』もまもなく再開します。

ご好評いただいております「あの人なら何を読む」シリーズも続けさせていただきます。

今回、登場いただくのは柴田勝家

織田信長が子どもの頃から支えていた武将は令和の現代で何を読むのでしょうか?

柴田勝家が令和にタイムスリップ

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「俺はそこが納得いかないんですよ。部長、何で中途採用の光秀がプロジェクト1つ成功したくらいで支社を任されてですね、昔から働いてる俺らは…」

飲み過ぎたのだろうか?たまに部下(寄力)の利家(前田利家)や成政(佐々成政)を連れていく飲み屋、ではないようだが………。

「部長!光秀は役員になったのをいいことに私らの人事にまで口出ししてるんですよ」

「成政、15年勤めて君の成功はかなり多いだろうな」

「私は、プロジェクトの成功は10くらいでしょうか」

「利家は、クビになっていた時期もあるが信長さま一筋で頑張っているな」

「当たり前でしょ、織田グループ一筋っすから」

「わしは、30年勤めて命をかけた武功は20を超えて数えれないほどだ。わしの立場からいうと、光秀が支社を任されたのも、挨拶もできなかった君らが仕事を任されているのも、どれも面白いことではない」


多分わしは、中途採用組の出世を妬む彼らにこんなことを言いたかったのだろう。


「だから誰それの出世を妬むよりも、今できる仕事を地道にこなして、織田を大きくしようではないか」

わしや彼らが着ている首が窮屈な服も、信長さまが気分で新しく選んだ制服なのだろう。

茶のように苦い黄色い酒も、ヨーロッパから仕入れて流行らせているのだろう。

細かなことを気にしているようでは、彼らに説教もできんな。

ただ、自分にある仕事をこなす、それだけなのだろう。



柴田勝家の現代での立場


柴田勝家の生涯は、新卒採用の会社に最後まで勤め上げた一生といってもいいでしょう。


20〜30代は織田家の相続騒動の真っ只中

柴田勝家は、愛知県(尾張)の織田家信秀(信長の父親)に仕える役員(家老)でした。

織田家は信秀が亡くなると、長男の信長と次男の信行の間で会社の相続騒動が起こります。

初めは、織田信長の弟に仕えていた20代の柴田勝家は、信行が何度も信長に敗れていたこともあり、ある日を境に信長の元で働くことを決意します。


30〜40代でベンチャー企業の出世争い

勝家が30代の働き盛りになる頃には、織田家岐阜県(美濃)や三重県(伊勢志摩)まで事業を拡大していました。

当時としては珍しい大規模な拡大は、現代なら急成長のベンチャー企業

勝家も成長するベンチャー企業 織田テクノロジーで、中途採用や非正規雇用からでも役員を目指せる社風の中、日々仕事に明け暮れていました。


40〜50代で大企業グループの支社長

柴田勝家が40代の頃、大企業に成長した織田グループは周りを敵対勢力に囲まれて苦しい情勢の中にありました。

織田グループの幹部は、部下を引き連れて近畿から中国、関東まで出張し出世争いに身を投じていました。

中途採用組を積極的に出世させ仕事を任せていた会長の信長ですが、勝家に大役を任せることになります。

1つは家老と呼ばれる専務取締役、もう1つは新潟を治めていた上杉謙信率いる老舗 越後上杉海運へ対抗した織田グループ北陸支社長でした。


60代でグループを引き継いだ秀吉に敗れる

海外進出も夢半ばに倒れた会長の織田信長

後継者争いの清洲会議では、豊臣秀吉(羽柴秀吉)に有利な条件で人事が行われます。

その後、北陸支社時代の叩き上げの人材とともに滋賀県(近江)で激突した勝家と秀吉、時代の流れは秀吉を選んだのでした。



柴田勝家の仕事と性格

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NHK大河ドラマの『利家とまつ〜加賀百万石物語』では松平健さん、『功名が辻』の勝野洋さん、映画の『清洲会議』では役所広司さんとダンディな大御所俳優が演じる柴田勝家

麒麟がくる』では、細面の安藤政信さんが今までと違う雰囲気の勝家を演じています。

柴田勝家をひと言で表すなら、「古き良き男性像」ではないでしょうか。

【仕事】昔気質の仕事の鬼
【性格】心優しい男気
【趣味】仕事一筋

演じている役者さんが、勝家という人物を表しているのかもしれません。


【仕事】昔気質の仕事の鬼

柴田勝家の仕事との向き合い方は、記録として残っているものが多くあります。

ヨーロッパの宣教師ルイス・フロイスは、「一生の全てを仕事に費やした男」と勝家を書き残しています。

またある時、勝家が立て籠もる長光寺城が包囲され、水が底をつきそうになったことがありました。

勝家は、残っていた水を部下に分けたり馬を洗うパフォーマンスをした後、水瓶を割って「もう水はないから後は敵を討ち破って買ってから飲もう!」と演説をしたとあります。

この逸話で「瓶割り柴田」という呼び名がつくことになります。

勝家の仕事との向き合い方は、器用ではなかったのでしょう。

真っ直ぐに努力は惜しまない、そして逃げ道も作らない。

とても労力が必要でリスクもあり、現代的ではないのかもしれません。

そこに、勝家が常に前を向いて仕事に励んでいた姿が思い浮かびます。


【性格】心優しい男気

仕事の鬼というと、部下にはとても厳格に思えますが、勝家は違いました。

前田利家が若い頃にクビになったときには、こっそりと面倒を見たりしています。

そして、信長が亡くなった後の秀吉との対立では古くからの部下が秀吉側につくことになります。

戦国時代では、子どもや兄弟を人質に預けて信頼を築き、裏切ると殺されても仕方がないというのが一般的でした。

自分の元を去る部下に人質を送り返し、「今までの働きに報いてあげられず済まなかった」と労いの言葉まで送っています。

部下を子どもや兄弟のように大切にしていた勝家をうかがい知ることができますね。


【趣味】仕事一筋

戦国時代には、織田信長の鷹狩りというアウトドア、徳川家康漢方薬作り、豊臣秀吉の芸術鑑賞といった趣味がたくさんあります。

一生の全てを仕事に費やした男」と書き残されているように、柴田勝家には趣味らしい趣味はないようです。

きっと、体を鍛えることだったのでしょうか?



柴田勝家なら今何を読むか

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仕事一筋の柴田勝家、部下の前田利家佐々成政の愚痴を聞きながら現代の居酒屋にタイムスリップ。

仕事に生きる勝家にとっては、時代が変わったことも「些細なこと」。

熱血漢のビジネスマン2人を導くために読む本とは?


現代のビジネスマンの働き方

柴田勝家自身も、努力で結果を出して大企業織田グループを支えた1人でした。

仕事の方法は、自分の判断で見極めるタイプにも思えますが、成功している人の工夫は惜しみなく取り入れるはずです。

『結果を出し続けている人が朝やること』後藤勇人


成功した努力家の自伝や伝記

仕事一筋の勝家が共感できそうな現代の仕事人というと、本田自動車の創業者 本田宗一郎さんではないでしょうか?

16歳で入社した製作所から、22歳で独立した後もこだわり続けた技術で会社を大きくした昭和の偉人。

昔気質の努力家の勝家なら、「そうそう仕事はこうでないとな」と読みながらうなづいていそうです。


『やりたいことをやれ』本田宗一郎

中年になってからの身体の鍛え方の本

趣味らしい趣味は記録に残っていない柴田勝家

60代になるまで鎧を着て戦場に立つために、身体には気をつけていたはずです。

教え子と一緒に世界大会に出場している葛西紀明さんもまた、生涯現役を宣言している1人。

『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』葛西紀明


本を片手にトレーニングを怠らない勝家のパワフルな姿が思い浮かびます。



柴田勝家にまつわる現代の本

柴田勝家森下翠


柴田勝家と支えた武将たち』小野之裕


織田信長の家臣団―派閥と人間関係』和田裕弘


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