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ホグワーツの理想の先生〜シリウスとリーマスの職員会議

ある日の職員会議

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先日更新させていただいた、「ホグワーツの理想の先生」の続編で、二次作品を書かせていただきました。

物語は、ハリー・ロン・ハーマイオニーの世代が卒業して数年後。

最後の戦いを生き残った魔法使いたちがホグワーツの理想の先生として働く空想的な物語です。

※本作品はJ・K・ローリング著作ハリー・ポッターシリーズの二次創作物に当たります。二次創作物に関する但し書きなどは末尾をご参照下さい。

ホグワーツの理想の先生の続編


ハリーにとっても読者にとっても大切な人の多くが命を落としています。

戦争と争いの悲惨さを描くにあたって、物語の中で人が死ぬのは必要なことでしょう。

だからこそ、もし生きていたらこうなってほしいなと思い理想の先生たちの働きぶりを描かせていただきます。


魔法冒険クラブ問題


「では、後期の授業日程は予定通りということでよろしいでしょう。ビル副校長、最後の議題は長くなるのでしたね?」

それぞれの寮監から、休暇中の学生の報告、専任教授から授業日程の報告を受けて、職員会議はある重要議題が話し合われることになっていた。

「先日、魔法冒険クラブの合宿で起きた生徒2名の負傷事故について、スリザリン寮生アヴリル・リータの件でスネイプ教授から提案があり…詳しい説明を求める…と?」

「左様、詳しい説明というよりも。かの野蛮な不良活動を止めて頂けまいかと、我輩は申し上げておるのですが…」

「野蛮?元気がいい証拠じゃあないか。クラブ活動中のただの事故だ、報告書にも書いてあるだろう」

校長室の円卓では、誰かが意図したことは間違いないように隅と隅に座る当事者のシリウス・ブラック教授とセブルス・スネイプ教授、円卓の上で交わるし視線が相変わらずの2人の仲を物語っていた。

「そうですね、報告書では“魔法合戦中
スリザリン寮生アヴリル・リータの呪文でグリフィンドール寮生ミハエル・ウィーンの腕が負傷、ミハエルの反撃でアヴリルは右足を骨折”ブラック教授がその後、応急処置をしたんですよね」

副校長のビルが報告書の内容を補足しながらまとめる。

「ああ、ビルの言った通り。間違いはないさ。元気がいい子どもたちの、事故でしかない」

「ほう、一部の不良生徒に人気の高いブラック教授によると、生徒が重傷を負うことは“ただ事故”、アズカバン上がりというのも人気が上がるわけですなぁ」

「スネイプ先生、私と君が先生でなければ君のローブが後ろへ、吹っ飛んでいるだろう」

「およしなさいシリウス、あなた方はホグワーツの教師。セブルスも、議論は生徒のためにあるべきです」

2人を結ぶ円の直結、ちょうど中心から垂直に線を結んだ先のマグゴナガル校長が今にも呪文が飛び交いそうな目線を制するよう声を上げる。

「呪文学を教える立場としてだが、盾の呪文が上手く使えていないように思える。シリウス、2人は5年生だが身につけていたのかい?」

「ミハエルもアヴリルも優秀な生徒だ。4年生の頃には、盾の呪文を覚えていた。当然だ、と言いたいが当日は、互いの呪文を防ぐためには使ってはいない」

「そうだな、確かに覚えていても使えていないなら、十分に身についていないことになるな」

学生時代から付き合いの長いルーピンは、同僚の意見を肯定しながら話を進めるクセが身についていた。

「ミセス・ウィーズリー教授、その電算(パソコン)で計算すると学生の盾の呪文の成績と、実戦で使える習得はわかるのかい」

マグルの数占い道具 電算機(パソコン)、ノートのように持ち歩けるタイプの機器を広げるハーマイオニー数占い教授にビル副校長の疑問が投げかけられる。

「ええ、闇の魔術に対する防衛術で盾の呪文の優・Oと良・Eの生徒は4年生52%、5年生68%、6年生72%、7年生88%。イギリス魔法界の32%、魔法省職員の48%と比べても“高い”という結果が出ています」

「ほう、闇の魔術に対する防衛術教授が曲がりなりにも仕事をしていると、そうなるわけですな」

「実戦で使える習得は?わかるのかい?」

皮肉のこもった言葉と真面目な質問を同時に受けるハーマイオニー教授は、電算機(パソコン)の文字盤を叩き、ある答えを導き出していた。

「学生が実戦を経験した、“神秘部の戦い”と“ホグワーツの戦い”を元にして計算すると、こうなるわ。盾の呪文を実戦で使える確率は、4年生32.2%、5年生44.2%、6年生50.4%、7年生60%。年齢が高くなるたびに状況に合わせた呪文選びが正確になるから、ルーピン教授の指摘は当てはまるし、ブラック教授の授業が実戦的なのも事実なの」

「ミセス・ウィーズリー教授ありがとう、この結果を元に考えてみませんか?」

シリウス盾の呪文の授業は4年生からだったはずだね」

「確か、ああ、4年生1期から始めている」

慌てて資料を巡り、素早く答えにたどり着くシリウス教授よりも早く、ルーピン教授の頭の中には既に解決策が浮かんでいた。
その考えを汲み取ったビル副校長が、不要な議論が起こらないうちに円卓をまとめにかかる。

「ブラック教授、盾の呪文の授業を3年生の2期から始めることで実戦で使える生徒も増える。そう思うのですが?」

「イタズラ盛りの3年生に?今の粉々呪文の方が楽しそうに思えるがね」

「ブラック教授、ホグワーツのあるべき」

「ええ、もちろん、分かってますよ。3年生の2期から盾の呪文の授業をはじめよう。4年生で優・Oと良・Eを取れなかった生徒には補習。これで、スリザリンで流行っている切り裂き呪文を防ぐことができる。切り裂き呪文は…まさか呪文学で教えてないだろうなリーマス?」

「さぁね、私は“その方面”の専門家ではないから」

シリウス教授の皮肉を交えた冗談も的外れではなかった。
スリザリン寮生アヴリル・リータがグリフィンドール寮生ミハエル・ウィーンへ向けた呪文は、知っている者ならすぐに切り裂き呪文セクタムセンプラだったからだ。
狙いがそれたアヴリル切り裂き呪文は、ミハエルの腕に薄皮一枚の切り傷を残しただけで、反撃の粉々呪文レダクトが命中した足の骨が粉々になってしまった。
怪我の大きな方が問題視されていたが、当事者のシリウス教授、状況判断に長けたルーピン教授や洞察力の鋭いハーマイオニー教授らは切り裂き呪文が生徒に広まっていることをしっかりと把握していた。

何より、問題提起をしたスネイプ教授が何の反論もしないのが何よりの証拠でもあった。

「それでは、最後の議題を終わります、校長先生」

「それでは先生方、2期の授業日程も予定通り進めてください。また、生徒への個人指導は何ら差し支えありませんが、魔法を扱うにはまだ者への指導は、慎重になさっていただくようお願いいたします」

同僚のシリウスとルーピン


リーマス、さっき校長は個人指導の話をしていたが、あれはスネイプに言っていたのか?」

「さぁ、私にはそう聞こえたが、君には、別の聞こえ方がしたのかい?」

魔法冒険クラブの事故の前から、スリザリン寮生が切り裂き呪文を悪戯に使う事実を知っていた先生方にとっては、マグゴナガル校長の言葉はスネイプ教授に向けられたように聞こえていた。

「なんだ、何か私が?良からぬことを企んでいると、そう言いたい顔に見えるなぁ。例えば、“倍返しの呪文”と聞いて知っていることがあるとか」

「ははは、シリウス。まさに“倍返しの呪文”だよ。もちろん、校長は知らないけどね」

「なんだ、そうなのか。ハリーの真面目さときたら、やはり母親似だな」

やましさを秘めたシリウスの表情は、開き直った気持ちに同期するような陽気な笑顔を見せる。
はじめから冗談でからかおうとしていたルーピンの態度が、そうさせているのもある。

「“倍返しの呪文”は、画期的なんだリーマス。自分に向けられた闇の魔術を、倍返しにして相手に送り返す。切り裂きの呪文はハリーと試したから効果はある。私に磔の呪いを使おうとした相手の顔が思い浮かぶと、寝ていられなくなるよ」

「相手がハリーで良かった。今はまだ、“どんな魔法”も倍にして返してしまう問題があると、まだ改良の必要があるようだね」

「問題は、もう2つある。死の呪文が試せないのは仕方がない、受けた影響範囲まで倍にしてしまう。制御できない魔法は、使うべきではないと私は思っている」

「君の言う通りだと思う。何か手伝おうか?」

「本当か?友に感謝するよ」


中年に差し掛かっても少年の遊び心と危うさを醸し出すシリウス、少年の頃から中年の落ち着きを持っていたルーピンの2人の変わらない友人は同僚になってからも続いていた。


パソコン(電算)の可能性


「ちょっといいかしら?聞こえちゃって」

新しい悪戯を語らうような2人の教授に、マグルのズボン姿の正装の若手教授ハーマイオニー・ウィーズリー(グレンジャー)が追いついていた。

「さっきはありがとう、ミセス・ウィーズリー教授」

からかいの笑顔を忘れないシリウスの笑顔に微笑みの返事で応じる。

「相変わらず君の賢さには恐れ入るよ。生徒だった頃から、さらに磨きがかかっているね」

「ありがとうルーピン先生。お2人もいかが?役に立つこともあるのよ」

「私は、慣れるまでに時間がかかりそうだ。何せ全自動羽ペンさえなかったから」

ハーマイオニーが近づけるたパソコン(電算)をルーピンは首を傾げて苦笑いで遠慮していた。

「そう、ロンもマグル学教授だっていうのに、すぐイライラして投げ出してしまうのよ」

数占いと魔法史の兼任教授のハーマイオニーが使いはじめたパソコン(電算)だったが、本来ならマグル学の担当分野に思われてもいた。

「ところで、マグルのパソコン(電算)はなぜ喋らないんだい?マグルにも、ラジオや音楽道具のように喋る道具を作る技術はあるようだが」

眉をひそめたシリウスの疑問にハーマイオニーは言葉が詰まる。

「それは…ロンに調べてもらおうかしら。彼ったら、これをどうしたら売れるかしか頭にないみたい」

「彼は商才の方に開花するのかもしれないね」

前向きなことには誰に対しても褒めるルーピンの言葉に笑顔を返し、授業を2つ抱えるハーマイオニーは忙しそうにその場を後にした。


あとがき


ハリーポッターシリーズ本来の流れでは、シリウスとルーピンの2人は亡くなっていて、ホグワーツで同僚になることはありませんでした。

スネイプ先生も、ホグワーツの戦いで命を落とします。

もし、スネイプ先生が復帰して、新しい先生にシリウスとルーピンが採用されたとしたら?

セブルス・スネイプが不死鳥の騎士団の陣営だったことが明らかになると、闇の魔法使いを憎む立場からスネイプを嫌う理由はなくなります。

ですが、彼らにはお互いを嫌いになる理由があります。

それは、「昔から嫌いだった」からです。

冷静なスネイプ先生も、ハンサムでチョイ悪オヤジのシリウス先生も、子どもみたいな足の引っ張り合いを繰り返すのかなぁと思います。

そして、出来るだけ中立の立場にいようとしても、最後はシリウスの肩を持ってしまうルーピン先生の姿が想像できてなりません。


二次創作について


本記事は、ハリー・ポッターシリーズを原作として「もしも」をテーマにした二次創作物です。

ハリー・ポッターの著者J・K・ローリングさん、並びに原作出版社は二次創作に対し寛容とのお考えを知り、本ブログの読者さまのご期待に沿えるため作成させていただきました。

記事本文へのWeb広告の表示、原作のアフィリエイトサイトのリンクを控えさせていただくことで商標利用をしていない意志を示させていただきます。

商標利用に関する参照サイト↓
Home - J.K. Rowling

「ハリー・ポッター戦争」で考える”二次創作の自由”|NEWSポストセブン


ハリー・ポッターシリーズの考察はこちら↓
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ハリー・ポッターシリーズのまとめはこちら↓
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