本当に本が読みたくなる読書のブログ

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平井伯昌コーチに学ぶ「教えること」、コーチングの基本と極意とは?

『見抜く力―夢を叶えるコーチング』平井伯昌

見抜く力―夢を叶えるコーチング (幻冬舎新書)

著者 平井伯昌
出版社 株式会社幻冬舎
分類 実用書、ビジネス書
出版日 2008/11/1
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい

今月の本の紹介は、競泳界の名指導者 平井伯昌さんの本を選ばせていただきました。

タイトルに書かれているように、相手の導き方と教え方「コーチング」が学べる1冊です。

誰かを教える役割にある人にとって、「教えること」の基本から極意までを、平井コーチと北島康介さんなど選手の方とのエピソードを交えて知ることができる実用書です。

平井伯昌さんの紹介


平井伯昌さんというお名前を聞いて顔が思い浮かばない方でも、「平井コーチ」と聞くと北島康介さんや萩野公介さんが思い浮かぶのではないでしょうか?

改めて、平井伯昌さんの経歴を本の中のから紹介させていただきます。


平井伯昌コーチの経歴

・1982年、早稲田大学へ入学。水泳部では、選手からマネージャーへ転向
・1987年、東京スイミングセンターに入社し水泳コーチになる
・1996年、北島康介さん、中村礼子さんの指導に当たる
・2004年、アテネオリンピック北島康介さんが金メダルを獲得
・2008年、北京オリンピックの水泳日本代表コーチに就任。北島選手・中村選手らがメダルを獲得、日本代表選手を「世界に通用する競泳」へと成長させる
・2021年、東京五輪後に日本代表競泳ヘッドコーチを退任

アテネオリンピックから北京オリンピックまで活躍した北島康介さん、リオデジャネイロオリンピックから東京オリンピックまで活躍した水泳解説者の萩野公介さん、東京オリンピックで活躍し今なお現役の大橋悠依さんを育てた名コーチとして、これからの水泳界にも欠かせない方です。


選手に信頼される平井コーチ

世界水泳選手権2023福岡大会後、代表選手と日本水泳連盟の間に大きな溝があることが明らかになります

代表選手とともに、日本水泳連盟の問題に声を上げた平井伯昌コーチは、2023年8月にアジア大会日本代表コーチを辞任。

さらに先日8月6日には、日本水泳連盟は「職務違反」を理由に平井コーチへの活動自粛処分を言い渡します。

ネットニュースでは、平井コーチの情報発信が「プライバシーへの配慮に違反した」と発表されています。

ただ、代表選手の方だけはご存知のはずです。

長年の平井コーチとの信頼関係が、そこにあるのですから。


平井伯昌さんの本の紹介

平井伯昌さんは、他の著者の方との共同執筆も含めて12冊の本を執筆されています。

『勝つ理由。<3人の金メダリストを育てた名将がひもとく勝利のプロセス>』
勝つ理由。<3人の金メダリストを育てた名将がひもとく勝利のプロセス>

『バケる人に育てる 勝負できる人材をつくる50の法則』
バケる人に育てる 勝負できる人材をつくる50の法則

特に、東京オリンピック2021の後に執筆された『勝つ理由。<3人の金メダリストを育てた名将がひもとく勝利のプロセス>』は、令和の現代の価値観も取り入れられた実用書です。





『見抜く力―夢を叶えるコーチング』の構成と読みやすさ


『見抜く力―夢を叶えるコーチング』は、一般的な新書のサイズでとても読みやすい本ですよ。

本の構成

・まえがき p3〜p4
・第一章 五輪の栄光 p11〜p33
・第二章 選手から指導者の道へ p35〜p59
・第三章 見抜く力 p61〜p85
・第四章 人を育てる p87〜p119
・第五章 水を究める p121〜p149
・第六章 夢を叶える p151〜p168
・新たな世代を育てろ‐あとがきにかえて p169〜p172 

『見抜く力―夢を叶えるコーチング』は、平井伯昌さんがコーチを志すきっかけになったエピソードから、時系列で進む6つの章で構成されています。

ページ数はp172で、図解や表はほとんどなく、一般的な新書の分量です。


読みやすさ☆☆☆とても読みやすい

『見抜く力―夢を叶えるコーチング』は、平井伯昌さんの気持ちが込められた、それでいて読む人に語りかけるような優しい文章で書かれています。

2〜3ページごとに小さな項目に分けられていて、普段読書をされない方でもスキマ時間を使って1週間ほどで読むことができるでしょう。


『見抜く力―夢を叶えるコーチング』を読みたくなったキッカケは、「教えること」を学びたい


私が『見抜く力―夢を叶えるコーチング』を読みたくなったキッカケ、それは「教えること」を学びたいからです。

先生でもインストラクターでもない一般職の会社員でも、誰かに「教えること」は少なくはないんです。

少なくはなくても、「教えること」を本格的に学んだことはありません。

首都圏の企業で働いている方のように、研修会や講座の受講は限られています。

本業の業務に関する勉強も欠かせないため、どうしても「教えること」の勉強は後回しになりがち……。

それなら、「教えること」の専門家に学ぶのが1番、そう思えた時に見かけたのが、競泳界の名コーチ、平井伯昌さんのお話だったんです。

それでは、平井伯昌さんの本の中から、会社員の方にも役に立つ「コーチングの基本」と「平井コーチの極意」を取り上げさせていただきますね。




「教えること」コーチングの基本


『見抜く力―夢を叶えるコーチング』に書かれていたエピソードの中から、平井コーチが大切にされていることを4つ取り上げさせていただきました。

①指導者の基本は「謙虚な心」
②「なぜできたか」を伝える
③勝敗よりも「できたこと」
④伝え方は「ワンポイント」で

この4つは、「教えること」コーチングの基本として覚えておきたいことです。

①指導者の基本は「謙虚な心」

自分でもある程度の成績を残したことがあれば、指導する際にどうしても自分の体験が含まれてしまう。その体験の「負」の部分、こだわりやコンプレックスが、眼鏡を曇らせてしまうことはあり得る。自分の目の前の選手をあるがままに受け入れる「謙虚」さが大切なのだと思う。
・第二章 選手から指導者の道へ p50

目の前の相手を、あるがままに受け入れることを「謙虚」さと平井伯昌さんは書かれています。

私も後輩や研修生の方への言葉づかい、何かを教えるときの周りの環境には気を配っていましたが、基本になるのは「謙虚な心」なんですね。

いわゆる成功パターンやビジネス書に書かれているモデルとはズレていても、相手が考えて行動する姿を、「あるがままに受け入れる」心を持ちたいですよね。


②「なぜできたか」を伝える

いちばん大切なのは、悪くなったときの「リカバリー能力」なのだ。そのためには、なぜできないのか、ではなく「なぜできたのか」のいいときの反省が必要なのである。
・第三章 見抜く力 p84

物事が上手く進んでないとき、どうしても「ここを直そう」と指摘することは教えるときのアドバイスではよくあることではないでしょうか?

物事が上手く進まないとき、大切なことは上手くいく方向へ軌道修正する「リカバリー能力」が大切と書かれています。

そのためには、上手くできたときに「なぜできたのか」を振り返ることが肝心。

これは、すぐにでも取り入れたいことですよね。


③勝敗よりも「できたこと」

勝ち負けはあくまでも結果であり、コーチとしての仕事は、選手の可能性をどこまで引き出せるか、選手であれば、自分のレースができたかどうかということが、もっとも重要なことなのである。
・第四章 人を育てる p112

スポーツはもちろん仕事では、勝ち負けや売上・契約件数など結果だけが注目され評価されます。

誰かへアドバイスをするときだけは、相手が「できたこと」に注目することが、可能性を引き出すことにつながる。

そのためには、「できたこと」の理由を教える側が正確に分析できないとならないんですね。


④伝え方は「ワンポイント」で

試合の前などにコーチするときは、選手に反省すべきポイントを話させて、自分なりの解決法を考えさせ、いろいろな問題点を探っていく。
ところが、泳ぎの悪いところを修正し、より改良して行こうとするときには、問題点を1つに絞らなければならない。そのポイントが複雑になると、泳ぎに集中できなくなって、修正することが難しくなるのだ。
・第四章 人を育てる p117

これは、私自身にもいえることですが、複雑すぎるアドバイスや指示は、結局何が言いたいのかわからないものです。

アドバイスを受ける側は、修正することに集中したいはずです。

教わる側のコミュニケーションには、負担をかけずワンポイントで伝えるよう心がけたいものです。




平井コーチの極意


「教えること」コーチングの基本に加えて、平井伯昌さんならではの教え方のポイントを2つ選んでみました。

①教える相手との距離感
②得意なところを伸ばす

この2つは、読んですぐできることではないと思い、「平井コーチの極意」として紹介させていただきます。

①教える相手との距離感

オーバー・コーチングには、距離感がオーバーになって、より近づきすぎてしまうという意味合いも含まれている。
コーチが何でも全部知っていなければならない、ということはない。選手自身が自覚を持ってやる部分を残しておかないと、自立もできないし育っていかないのだ。
・第四章 人を育てる p116

後輩や研修生が身近にいると、失敗しないようにあらかじめ手回しをすることはよくあることではないでしょうか。

最近は、「失敗を重ねて経験を積む」よりも「成功体験を重ねる」方が効率もよく、気持ちの負担も少ないとされています。

私も、「成功体験を重ねる」ようにできるだけ失敗が少ないよう手回しをすることがほとんどです。

ただ、後輩や研修生の全てを把握して、何から何まで教えることはオーバー・コーチングになると書かれています。

「これは自分でできる」という部分をあえて残すことが、相手の自立と成長につながり、ひとり立ちした後に役に立つ。

大きな失敗をしないよう手回ししながら、自分で判断する機会を残しておく、見極めは難しいことでもありますよね。


②得意なところを伸ばす

選手としては、むしろ突出している部分があるほうが魅力的だ。
むろん、突出している分だけ、ミスが出る危険性もある。しかしわそれはマイナスにはならない。反省点があるから、次のレースに向けて有効な対策を講じることができるのだ。
中略)
そうした選手を育てる場合は、まず得意なところをどんどん伸ばすことを考えた方がいい。選手にとっても取り組みやすいし、特化することによってその選手の特色もはっきりとしてくる。凹凸の凹の部分については、それほど急がず、徐々に強化していけばいいのだ。
・第五章 水を究める p131

平井伯昌さんはスポーツを例に書かれていますが、仕事でも得意なことと苦手なことの差が大きい方は少なくはないはずです。

書類作成は正確でも接客は苦手、プレゼンテーションは得意でもスケジュール管理が苦手、誰にでもあることではないでしょうか。

私の学生時代や社会人になりたての頃は、「苦手なことを克服する」ことが大切とされていました。

平井コーチが北島康介さんを教えられていた頃は、周りの方はきっとそうだったのでしょう。

「得意なところを伸ばす」、得意なことがその方の武器になり、苦手なことを補えるだけの価値を持ったとき、きっと魅力的な社会人になるのでしょう。

「何が」「どうして」得意なのかを細かく見極め、得意なことが伸びる環境を作れるよう、私も工夫していきたいです。


後輩を持った先輩、教える役割にある人におすすめの1冊


『見抜く力―夢を叶えるコーチング』には、今回取り上げさせていたいた、「教えること」コーチングの基本と平井コーチの極意の他にも、教え方の技術が盛りだくさんです。

スポーツインストラクターの方など学生さんを教える役割にある方、勤務先で若手の後輩を教える先輩、サークルなどでまとめ役を務める方におすすめの教え方の教科書になってくれるはずですよ。

最後に、平井コーチの言葉で締めくくらせていただきますね。

コーチと生徒、先輩と後輩は平等

生徒たちに向かって上からものを言うような態度は、反発を買ったりするだけだ。上から目線や、腹を立てて怒鳴るだけでは思うような指導はできない。初心者に限らず、どんな人を相手にする場合でも、指導者はまず謙虚な心をもつ必要がある。
それが、指導者としての「イロハの、イ」であることを忘れてはならないと思う。
・第二章 選手から指導者の道へ p53


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読書の秋におすすめ、秋バテ予防に役立つ3冊の実用書 2023

読書の秋におすすめの実用書

本当に本が読みたくなる読書のブログをご覧の皆さま、2023年も読書の秋が訪れました。

今年も例年通り、「実用書」「思想・哲学、考え方の本」「一般教養、サブカルと雑学の本」「ビジネス書、政治・経済の本」「読書の効果と読書術の本」「エッセイ、ノンフィクション」「小説」の7つのジャンルから、おすすめの本を紹介させていただきますね。

第1回は、「秋だから心と体を整える」をテーマに3冊の「実用書」を選ばせていただきました。

秋だから心と体を整える


2020年頃から、秋になると体に起こる体のだるさや睡眠の不調は「秋バテ」と呼ばれることが増えてきました。

実は新しく呼ばれるようになっただけで、秋になると体調や気分が乱れることは多くの方にとってよくあることではないでしょうか?

原因の1つに、昼の時間が短くなりはじめ、天気が曇りがちな秋ならではの日照時間の減少があります。

せっかくの読書の秋、食欲の秋を楽しめるように、秋だから心と体を整えるを読んでみませんか?




心と体を整えるおすすめの実用書


今回紹介させていただくのは、心と体を整えるおすすめの実用書です。

医師の西野精治さんと大塚邦明さんは、それぞれ睡眠と体内時計の専門家です。

50歳を過ぎた今も現役アスリートのレジェンド葛西紀明さんは、実体験を元にした心と体を整える実用書を書かれていますよ。

『最高のリターンをもたらす超・睡眠術~30のアクションで眠りの質を高める』西野精治

最高のリターンをもたらす超・睡眠術

1冊目の心と体を整えるおすすめの実用書は、『スタンフォード式最高の睡眠』の著者で睡眠のメカニズムが専門の精神科医 西野精治さんの本です。

新刊の『最高のリターンをもたらす超・睡眠術~30のアクションで眠りの質を高める』では、教育の専門家 木田哲生さんの見解も加わった新しい睡眠の実用書です。

睡眠と自律神経、睡眠と記憶力、睡眠とメンタルの安定についての最新の知識が秋バテ予防のヒントになってくれるはずですよ。


『最高のパフォーマンスを引き出す習慣術』大塚邦明

最高のパフォーマンスを引き出す習慣術

2冊目の心と体を整えるおすすめの実用書は、「体内時計」を専門にされる循環器内科医 大塚邦明さんの『最高のパフォーマンスを引き出す習慣術』です。

海外旅行や、国際試合に参加するアスリートの方の話題では、体内時計が狂う「時差ボケ」は大きな悩みごとでもあります。

実はこの時差ボケ、国内で暮らしている私たちにとっても気づかずに起こっているとされています。

秋バテの原因でもある日照時間の減少も、体内時計が狂う時差ボケが影響しているとされています。

大塚邦明さんは、最新の体内時計(時間医学)の研究を元に、「時間の使い方」「」「睡眠」「運動」「食事」の4つの方法で、心と体を整える方法を紹介されています。


『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』葛西紀明

www.yu-hanami.com

3冊目の心と体を整えるおすすめの実用書は、スキージャンプ界のレジェンド葛西紀明さんの『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』です。

タイトルに「40歳を過ぎて……」とありますが、50歳を過ぎた2023年も現役アスリートとして活躍されています。

ポジティブ思考とオンとオフの切り替えで「折れない心」を整え、スポーツが苦手な方でも取り組めるストレッチとお手軽筋トレで「疲れない体」をつくる方法は、仕事や子育てに忙しい40代の方向けの秋バテ予防の1冊ですよ。


読書の秋におすすめの実用書は?

40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方


秋だから「心と体を整える」のテーマに1番ぴったりな1冊は、葛西紀明さんの『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』です。

出版されたのは2017年と、西野精治さんと大塚邦明さんの最新刊に比べて古いのは確かです。

それでも、葛西紀明さんご自身で取り組まれていることを一般の方向けに紹介される『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』は、信頼性と実用性の高い実用書としておすすめしたい1冊です。




読書の秋におすすめの本2023

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キャンプの全てが書かれたおすすめ本『アウトドアテクニック図鑑』

『アウトドアテクニック図鑑』寒川一

アウトドアテクニック図鑑

著者 寒川一(さんがわはじめ)
出版社 株式会社池田書店
分類 実用書、アウトドア
出版日 2019/4/18
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい


今回は、キャンプ界の伝説 寒川一さんが書かれた、はじめてのキャンプをされる方にもベテランキャンパーの方にもおすすめのキャンプの本を紹介させていただきます。

キャンプ歴40年のキャンプ界の伝説 寒川一さん


著者の寒川一さんは、アウトドアライフアドバイザーの肩書を持つキャンプ歴40年の大ベテランキャンパーです。

奥さまの寒川せつこさんは、北欧ソト料理家としてアウトドア料理を専門に研究され、ご夫婦ともにキャンプ界の伝説として多くのキャンパーに影響を与え続けています。

寒川一さんの経歴

1963年に香川県で生まれた寒川一さんは、大手玩具メーカーで商品企画を約10年務められていました。

バブルが近づき、労働時間と収入が伸び続けたある日の通勤中、反対のホームから出かけるレジャー客に出くわしたことがアウトドアに興味を持つきっかけになったと語られています。

その後、体験したアウトドアを通して、日常から非日常へ出かける開放感を多くの方に伝えたいと感じた寒川一さんは、2012年に神奈川県を拠点にSTEP CAMP(ステップ・キャンプ)を立ち上げます。

2015年には、STEP CAMPを法人化しアウトドアのノウハウを伝える活動を始められます。

また、東日本大震災を機にキャンプの技術を防災の備えに役立つ『防災キャンプ』を提唱、アウトドアライフ企業「UPI OUTDOOR PRODUCTS」のアドバイザーとしてキャンプ教室や配信、メディアへの出演でアウトドアの素晴らしさを伝え続けています。


寒川一さんの他の本の紹介

寒川一さんは、アウトドアに関するの実用書をいくつか出版されています。

キャンプの技術はもちろん、防災に関するノウハウと奥さまの専門アウトドア料理の情報もまとめられた役立つ実用書ばかりです。

『「サボる」防災で、生きる』
「サボる」防災で、生きる

『焚き火の作法』
焚き火の作法

『キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術 アウトドアのスキルと道具で家族と仲間を守る!』
キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術 アウトドアのスキルと道具で家族と仲間を守る!


本の構成と読みやすさ


今回紹介させていただく『アウトドアテクニック図鑑』は、全てのページで画像とイラストつきで、Webサイトを読むように読み進めることができます。

『アウトドアテクニック図鑑』本の構成

はじめに p8〜p9
PART1 基本と準備 p13〜p36
PART2 住空間の工夫 p37〜p54
PART3 焚き火をしよう p55〜p78
PART4 焚き火料理 p79〜p108
PART5 刃物を使いこなす p109〜p128
PART6 ウッドクラフト p129〜p140
PART7 ロープワーク p141〜p162
PART8 冒険に出かけよう p163〜p181
スカンジナビアアウトドアの魅力 p182〜p191

本の内容は、キャンプの基本が書かれたPART1から、シーン毎のアウトドアの計画づくりを具体的にまとめたPART8までの8章で構成されています。


読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい

具体的なアウトドアテクニックの紹介は、全て画像つきで解説され、普段読書をされない方でもとても読みやすいキャンプの教科書でしたよ。




キャンプの全てが書かれた本が読みたい


花水(hanami)が読書と同じくらい、季節によってはそれ以上に楽しみなことがキャンプなんです。

キャンプでわからないことややってみたいことは、キャンプ芸人さんの番組やWebサイトで調べていますが、手元にあってさっと読める本を探していました。

見つけた1冊が、アウトドアライフアドバイザー寒川一さんの『アウトドアテクニック図鑑』でした。

キャンプの心構えから焚き火、刃物を使ったブッシュクラフトやロープの使い方まで画像とともに教えてくれるキャンプの教科書といえるはず。

キャンプに関するノウハウは、別の機会にさせていただき、本に書かれている寒川一さんのキャンプ観を取り上げさせていただきますね。


キャンプの楽しみ方は?


それではいよいよ、キャンプ歴40年の寒川一さんが見つけたキャンプの楽しみ方に迫らせていただきます。

不便を楽しむとは?

手間とはなんだろう。
手間とは手と手の間、手と時間ともとれる。手をかけず、時間をかけずに得たものはなんだろうか。そして失ったものってなんなんだろうか。
今、アウトドアの世界も例外ではない。手間を省き、時間を短縮するような便利なもので溢れている。でももしそれがなくなったら……。
PART1 基本と準備 p18

こうしてブログを更新している花水(hanami)の手にはスマホ、家の中には当たり前のように夜でも明るいライト、真夏でも快適に過ごせるエアコンがあります。

数年前に経験した数日間停電では、キャンプ用のライトで薄暗い夜を過ごし、毎日温度が下がる冷凍庫から傷みやすい食べ物から、少しでも無駄にしないように大切に食べていました。

キャンプでは、ライトはテントと手元を照らし、捜し物をするときには何度も動かさなければなりません。

不便ではありますが、「どうしたら」「なにができるか」を常に考えることができ、集まる虫を見て、「明かりが欲しいのは人だけじゃあないんだなぁ」と他の生き物の存在を感じることができる。

寒川さんが書かれた「不便を楽しむ」ことは、「気づく体験」をさせてくれることなのかもしれないと私は思います。


焚き火で感じる時間の流れ

焚き火には不思議な力がある。炎を眺めていると気分が落ち着き、心も体もリラックス。そして、揺れる炎に吸い込まれるように時は過ぎてゆく。
PART3 焚き火をしよう p56

キャンプで焚き火を経験された方は実感されたかと思いますが、ゆらゆら煌めく炎は何故か安心感を与えてくれます。

暖まることができ、調理した料理を食べることができる安心感を私たちの体が覚えているからなのかもしれませんよね。


与えられたものに感謝

一晩の暖と調理のための熱源を与えてくれた焚き火。その場を撤収する際には、感謝の意を表し、丁寧に後始末をして元通りにしよう。
PART3 焚き火をしよう p76

キャンプは楽しくても、帰る時間には「もう過ぎてしまった」と時間が進む儚さを感じます。

片付けや後始末は「面倒なこと」ではなく、自然が与えてくれたものに対する感謝を思い返す時間なのかもしれないですよね。


良いも悪いも天気

アウトドアは天候の影響をモロに受ける環境にある。悪天候でも無事に戻ってこられるように、計画には避難ルートもきちんと盛り込んで対策しよう。
PART8 冒険に出かけよう p174

元々雨や雪が嫌いな花水(hanami)は、キャンプで天気が悪くなると「早く晴れないかな」と天気が良くなることばかり考えています。

アウトドアは自然とともに過ごす時間、自然は人の思い通りにはならないものです。

自然だけではなく、自分の思い通りになることの方が、この世界では少ない、ほとんどないのかもしれません。

天気が悪いなら、そうなったときに何をするかを考えて予定をたてる。

出かける前の心の準備をしておくことが、キャンプを楽しむ秘訣ということなんですね。




自然に感謝して、来たときよりも綺麗に


本の中にそのままの言葉が書かれてはいませんが、読み終えた後に今までのキャンプを思い起こして大切にしたいと感じたことがあります。

それは、「自然に感謝して、来たときよりも綺麗に」ということ。

キャンプ場から帰る時には、後片付けを終えたあとサイトを見回り、燃え残りやゴミがないかを点検してから撤収しています。

それでも、忘れ物をしてしまうことも……。

改めて、楽しい時間を過ごさせてくれた自然に感謝して、挨拶の意味を込めて来たときよりも綺麗にしてから帰るように心がけたいものです。




『アウトドアテクニック図鑑』がお勧めの理由


2023年の今もキャンプブームは続いていて、花水(hanami)がキャンプをはじめた頃よりも楽しみ方の種類もキャンパーも増えているのかなぁと実感しています。

『アウトドアテクニック図鑑』は、これからキャンプを始めようと思われている方、元々他の趣味があって外出制限を期にキャンプをはじめた方へ、おすすめのキャンプの教科書とおすすめできる1冊ですよ。


キャンプの経験が暮らしにも活かせる

この世には自分でコントロールできることとできないことがある。自己の最良の道具と知識と経験に加えてこの精神をもてば、大抵の状況を乗り越えることができる。創意工夫と臨機応変はまさに魔法の言葉だ。
スカンジナビアアウトドアの魅力 p190

キャンプやアウトドアは、普段の暮らしを離れた時間を体験する素敵な楽しみだと思います。

キャンプのために身に着けた技術は、そのまま防災にも役立つことは花水(hanami)も停電で実感することができました。

寒川一さんも書かれている工夫のアイデアが次々と生まれる創意工夫、目線を切り替える臨機応変は普段の暮らしにも役立つ考え方でもありますよね。


キャンプを始めようか、どう続けようか迷う方へ

便利でカッコいい道具に囲まれたキャンプもいいけれど、ベーシック(基本的)でプリミティブ(原始的)なキャンプも魅力的です。それはキャンプシーンのみならず日常生活にも必要なものであります。本書ではそうした知恵や技術を、はじめて体験する子どもに教えるかのようにやさしくていねいにまとめました。
はじめに p9

花水(hanami)は、今もこれからもキャンプを楽しみ続けます。

キャンプブームが終わったとしても、密かな趣味として続けているはずです。

これからキャンプを始めようか迷われている方、元々の趣味ができるようになり、キャンプをどう続けようか迷われている方もいらっしゃるかと思います。

『アウトドアテクニック図鑑』は、キャンプに興味のある方にとって、正しい知識と豊かな技術を教えてくれる教科書になってくれるはずですよ。


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