ほっこりミステリーから伊坂幸太郎さんの『BEE』の紹介
著者 伊坂幸太郎
出版社 株式会社 宝島社
分類 ミステリー
出版日 2014/3/6
読みやすさ ☆☆★読みやすい
先月に1時間もかからず読んでしまい、紹介するのを忘れていた1話を紹介します。
短編集『ほっこりミステリー』から、伊坂幸太郎さんの短編連載ミステリーの『BEE』、殺し屋を副業にするサラリーマンの日常と非日常を描いた物語を紹介しますね。
妻に頭の上がらない殺し屋サラリーマン
物語の主人公は、文房具メーカーに勤務する会社員の兜。
出世競争から外れ閑職に異動になったかれの副業は殺し屋です。
殺し屋業を仲介する医師からの依頼でターゲットを暗殺する本業の殺し屋。
一戸建て住宅に妻と大学進学を控えた息子と暮らす、平凡な暮らしを送るおじさんです。
同業者に狙われることになった物語
今回の物語は同業者の殺し屋「スズメバチ」に命を狙われることになった兜。
「スズメバチ」は毒を使う殺し屋、縁あって同業者の兜をターゲットに決めていることを知らされます。
一家の冴えない父親でもあり、腕のいい殺し屋でもある兜。
日常と非日常が交差するある日、家に帰ると妻から蜂が庭に巣を作っていることを知らされます。
虫の蜂、殺し屋の「スズメバチ」の2つに対処しなければならなくなった兜の行動は………。
価値観は「仕事」「業務」
兜の本業は文房具メーカーの閑職、副業が殺し屋です。
作中での殺し屋は同業者に命を狙われることもある危険な仕事、仕事の良し悪しが自分の命にも関わる危険な仕事です。
危険な仕事は日本の中にも多くありますが、もちろん家庭の父親というのも社会の中での立派な仕事です。
家庭の父親として蜂と向き合い、殺し屋として「スズメバチ」と向き合う、どちらも手の抜けない仕事として真剣に向き合う兜の姿が見どころでもありますよ。
テーマは誰も死なないミステリー
ネタバレになりますが、作中では殺人のシーンはありません。
短編集が『ほっこりミステリー』ですので、当然といえば当然ですが。
私の好みもいつの間にか誰かが死ぬ必要があるミステリーから、誰も死なない謎解きがテーマのミステリーに変わっていました。
日常生活を扱うミステリーは、謎が解けたときは「あー、そういうこと」と妙に説得感があるところがあります。
難解な殺人事件の謎をパズルのように推理して解いていくのも楽しめますが、日常の謎を「起こりそうな出来事」に照らし合わせて解いていくミステリーも説得感があって楽しいですよ。
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www.yu-hanami.com
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