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掃除(SOJI)はバランスの取れた考えを身につけられる身近な取り組み

こころを磨くSOJIの習慣

著者 松本紹圭
出版社 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
分類 実用書、思想と哲学・考え方の本
出版日 2019/7/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい


『こころを磨くSOJIの習慣』は、仏教が身近ではない方にとっても、ストレス社会で役に立つ習慣が書かれた1冊です。

2回目まで紹介させていただいてから、しばらく経っていますが、読み返してみて改めて気づいた大切なことをまとめさせていただきますね。

掃除を通して学べる仏教の教え


ストレス社会で暮らしている私たちに、掃除を通じて仏教の考え方と実践を伝えてくれる著者 松本紹圭さん。

『こころを磨くSOJIの習慣』には、掃除を通じて、暮らしの中で実践できる仏教の考え方が書かれていました。



戒律は自分を守ってくれている


仏教に限らず、仏様や神様のいる宗教には信じている人が守るべき「戒律」があります。

「五戒(ごかい)」は自分を守ってくれるもの

五戒とは、

不殺生戒(ふせっしょうかい)………生き物を故意に殺してはならない
不偸盗戒(ふちゅうとうかい)………他人のものを盗んではいけない
不邪婬戒(ふじゃいんかい)………不貞を行ってはならない
不妄語戒(ふもうごかい)………嘘をついてはいけない
不飲酒戒(ふおんじゅかい)………酒などを飲んではいけない

というものです。

戒というと、必ず守るべき規則であり、破ったら罰則があるものと思われるかもしれませんが、本来は「良き習慣」という意味合いが強いものです。「戒を守るのではなく、戒に守られる」という見方もあります。なるほど「戒=習慣」と捉えるならば、「習慣に守られる」のは我が身を振り返ってみてもよくわかります。
私たち人間は習慣によってつくられる生き物です。行動の仕方、言葉の使い方、考え方、どれも幼い頃から少しずつ繰り返し繰り返し自分の習慣として身につけていくものです。良き習慣を身につければ、心身が整い人生が整います。
・第4章 仏道と掃除 p158〜p159

五戒(ごかい)は、仏教を信じる人が守るべき5つの規則とされています。

松本紹圭さんは、五戒を習慣と置き換えて、「守るべきこと」というより、私たちを「守ってくれている」ことと解説されています。

守ることに守られる?

ここは、法律に置き換えてみるとわかりやすいなぁと私は思います。


放っておくと気分に任せて行動してしまう人間をコントロールする方法

私たち人間は、喜怒哀楽のある生き物です。

もちろん私も、穏やかそうと言われるあなたにも「気分」があります。

気分のまま、イライラしたら八つ当たりをしてしまうと誰かを傷つけてしまいます。

お金がないからといって盗みをすると、元々の持ち主が困ります。

もちろん、日本のような法律のある国は他の人に暴言を言ったら侮辱罪や暴行罪になります。

盗みは窃盗罪です。

法律があることで国に裁かれることになるのですが、この法律が無かったら………。

暴言を言われたら暴力で反撃し、泥棒が入っても反撃できるように銃を持っておく。

嫌なことをする方もされる方も「好き放題」なら、自分も周りも同じように傷ついてしまうでしょう。

五戒は、私たちが守っていると誰かを傷つけなくて済みますし、自分も傷つかなくて済む。

そう考えると、五戒という習慣は私たちを「守ってくれている」といえるのではないでしょうか?



仏教の判断基準は「正しさ」


物事には、判断基準があって仏教の判断基準は難しいとも言われています。


仏教の勉強の基本「戒定慧(かいじょうえ)」

仏道における学びの基本に「戒定慧(かいじょうえ)」の三学があります。

①「」は戒律、生活を整え良き習慣を身につけること
②「」は集中力、心を制御して平静を保つこと
③「」は智慧、究極的に悟りであり、自己と世界を正しく見ること

つまり、「正しい言葉・行い・生活という習慣を保ち」「正しく気づきと集中を保つよう努め励む」ことにより、「正しく物事を見て、考える智慧が生まれる」ということです。
それを踏まえて、「良き習慣」とは何なのでしょうか?仏道の基本は、「自他の抜苦与楽」です。「自分も他者もより苦しまず、より幸せに生きられること」が目的なのです。それを達成できる習慣こそが「良い習慣」だと言えるでしょう。
・第4章 仏道と掃除 p162

「戒定慧(かいじょうえ)」というのは、宗派を問わず仏教の考え方の基礎とされています。

3つありますが、実は戒(かい)と定(じょう)ができていないと慧(え)にはたどり着けないようですね。

そして、「正しい」というのは「自分も他者もより苦しまず、より幸せに生きられること」とあります。

他の人のために自分を犠牲にしましょうという考えより、とても優しい教えに思えます。

ただ、現実的には自分が最初で他の人は次と考えてしまいがちで、事実でもあります。

今日のお昼ご飯が買えないのに募金はできませんし、体を壊しているのにボランティアはできないでしょう。


自分と周りは影響し合って成り立っていた

それそのものとして独立して成り立っているものは何もなく、全ては相互関係的に成り立っていて、何かが変化すればそ」がまた他の全てのものに反映されてくる。私たちは皆、そういう関係性で成り立っているということを示しています。
自他の抜苦与楽は、自と他がそれぞれ切り離されているわけではない、ということでもあります。
私たちの日常感覚で言うと、まず自分を大事にして、ちょっと余裕が出てきたら他の人を助けようか、やっぱり他の人を助けるにも、まずは自分がちゃんと整っていないとできないよね、というふうに、自他の順序が問題になりがちです。しかし、縁起の話でいうと、自の抜苦与楽と他の抜苦与楽が分かれているわけではなく、他者に何か働きかけること自体が、即時に自分にも反映してくるということなのです。
・第5章 掃除はお寺と社会をつなぐ p177〜p178

松本紹圭さんは、自分と他の人の順番は問題にならないと書かれています。

それなら、自分の昼ごはん代を寄付すれば良いのでしょうか?

それも極端なことです。

ポイントは、「自分も他者もより苦しまず、より幸せに生きられること」

自分も苦しくならない程度に、300円で菓子パンと飲み物を買う予定を、飲み物を水道で汲んだ水にして100円を寄付するということだと思います。


改めて掃除とは?〜仏教の実践


世界中で掃除を通じて仏教の考え方を広められている松本紹圭さんは、掃除を「宗教を超えて取り組めること」という言葉を残されています。

仏教では、極端にならない「バランス」が大切

仏教の本を何冊も読んでいると、物事を考えるとき「極端」にならない「バランス」が大切とよく書かれています。

この考え方は「中道(ちゅうどう)」と呼ばれていて、こちらに詳しくまとめさせていただきました。
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掃除は「バランスの良い」仏教の実践

禅的な考え方が強くなりすぎると、「とにかく厳しい修行をすればいい」となり、逆に浄土的な考え方が強くなりすぎると、「とにかく信じらばいい」となり、二極化が生まれます。その点わ掃除は、自力とも言えるし他力とも言えるし、仏道にへの「間の入り口」になるのではないでしょうか。

自力にも他力にも通じる掃除は実に奥が深いものです。このように、宗派を超えてさまざまに形を変えて受け入れられているところに、掃除の懐の深さを感じます。
・第5章 掃除はお寺と社会をつなぐ p174

仏教は宗派によって、「こうした方が楽に暮らせる」という考え方の基本があります。

松本紹圭さんの浄土真宗は、仏様を信じて念仏を唱える教えです。

他にも、座禅を組んで考え方を整理する禅宗の教えもあります。

自分で考えて仏教の考え方を身につけようという「自力(じりき)」、仏様を信じる心を身につけて考え方を学ぼうとする「他力(たりき)」という分け方もあります。

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松本さんは、掃除は自分と他力の「間の入り口」、「バランスの取れた」実践方法で宗派を超えて取り組めることとまとめてくださっています。

家にいる時間が多くなる今の時代、家の中でもできる掃除に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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