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他力本願と自力本願の意味は逆ではなかった〜目的は同じ

自力と他力の大きくない違い


今まで読んだ仏教の考え方の本の中から、普段でも聞いたり見たりする言葉を比べてみます。

他力本願(たりきほんがん)と自力本願(じりきほんがん)、反対のようにみえてどこか似ている気がしませんか?

他力本願

ぼくらお念仏の宗派というのは、「息を引き取ったとき、阿弥陀様がお弟子さんと一緒に迎えにきてくれる」という教えです。もう西方極楽浄土に瞬時にして連れて行ってもらえるんですね。だけれども、「自力本願」の天台宗曹洞宗というのは、「四十九日目に行くところが決まるんですよ」という教えです。
廣中邦充『どんな命も花と輝け』p185

他力本願(たりきほんがん)は、日本の仏教の宗派の中で「お念仏の宗派」と呼ばれる浄土宗、浄土真宗時宗で大切にされている教えです。

目的は仏教共通の「覚ること」です。

覚りというと、坐禅を組んでいて「はっ」とひらめくように起こるイメージがありますよね。

目的は同じ覚ることでも、他力本願の考え方がある宗派では、私たちが暮らしている地球上で覚ることはとても難しい(不可能に近いとも)ので、優秀な先生役が多くおられる阿弥陀如来さまの極楽浄土に行って、そこで覚る方法を取っています。

阿弥陀如来さまは、「念仏を唱えた者は必ず極楽浄土に迎え入れる」とお経の中で宣言しています。

その宣言通り、生きていて不安なこと、死んでからのことは阿弥陀如来さまにお任せするという考えが他力本願なんですね。



自力本願と自他力


他力本願ではない、自力本願(じりきほんがん)と、両方を合わせた自他力(じたりき)という考え方もあります。


自力本願

自力とは、自分で修業して覚ることです。座禅により覚りを得ることがこれにあたります。
鳥沢廣栄『超訳 仏教の言葉』p84〜p85

自力本願(じりきほんがん)は、鳥沢さんの本に書かれてあるように自分で修業して覚りましょうという考え方です。

やはり坐禅が1番に思い浮かびますが、他にも八正道(はっしょうどう)と呼ばれる生き方を実践する方法も多くの本に書かれています。


自他力

自他力とは、自分で修業もするが、如来や菩薩などの救いも求めて覚りに至ることです。密教がこれにあたります。
鳥沢廣栄『超訳 仏教の言葉』p84〜p85

自他力(じたりき)は、自力と他力のいいところを合わせた方法です。

密教と呼ばれる、真言宗天台宗で実践されている方法です。


共通点と実際


他力本願と自力本願は大きな違いがあるようにみえて、目的は同じことで、どちらの考え方も大切にされています。


目的は同じ

他力本願(たりきほんがん)、自力本願(じりきほんがん)、自他力(じたりき)は全く違うよに思えますが、「目的は同じ」という共通点があります。

その目的は、「覚ること」です。

覚ることは、現代では辛い出来事が多い世の中で幸せを感じて楽に生きられるようになりましょうと考えられているようです。


他力本願と自力本願の両方を取り上げた本が多い

また、他力本願の宗派でもある廣中邦充さんの本で八正道(はっしょうどう)と呼ばれる生き方の方法が詳しく書かれています。

宗派は違いますが、同じ他力本願の宗派の松本紹圭さんは掃除を通じた活動を実践されていたりもします。

自他力の宗派の鳥沢廣栄さんの本にも、他力本願の考え方が詳しく紹介されていたり、お坊さん作家さんの中ではどちらの考え方も大切にされているようですね。



私たちを悩ませる3つの物事


私たちを悩ませる出来事は、関わる人によって3つの物事に分けられます。


①自分でどうにかなること

②自分と相手でどうにかなること

③どうにもならないこと


①自分でどうにかなること〜仕事や子育ての質や量

まず1つ目は、「自分でどうにかなること」です。

仕事なら、作業の質や量、子育てなら「どんな役割」を担ったかといった自分の頑張りです。

節約などは取り組みやすいですね。

体を鍛えている方は、筋トレの回数や時間などでしょうか?

これらは、自分1人でどうにかすることができます。


②自分と相手でどうにかなること〜人間関係や家庭環境、身近な集団の問題

2つ目は、相手がいることです。

家族や恋人、仕事なら同僚や上司部下がいて成り立つことです。

「ゴミ出しのルール」など地域の問題も当てはまります。

相手がいることは、当然自分1人が頑張ってもどうにもなりません。

お子さんの成績にお父さんが熱心に関わっていても、お子さん自身はスポーツの方に興味が向いているなら、お父さんの頑張りは結果に現れないでしょう。


③どうにもならないこと〜世界情勢や死んでからのこと

最後に、世の中にはどうにもならないこともあります。

例えば、隕石が地球に向かっていても、一般人のわたしにはどうすることもできません。

死んでからの行き先を、旅行アプリで決めることもできません。

人が何かをして変えることができないことは、多いのではないでしょうか?



自分でどうにかなることは自力本願、どうにもならないことは他力本願


お坊さん作家さんたちの本を読ませていただいた花水(hanami)の勝手な解釈では、「自分本願だから良い」「他力本願しかない」という判断は仏教的には違うのかなぁと思います。

さきほどの「3つの物事」に当てはめるなら、③どうにもならないことを1人で頑張っても、結局どうにもなりませんし、①自分でどうにかなることを人任せにすることもサボりのように思えます。

②自分と相手でどうにかなることも、自分1人で頑張っても良くなりませんし、「相手がどうにかなりますように」とお祈りだけするのも無責任に思えます。

そこで、3つの出来事によって方法を変えてみることを思いつきました。

①自分でどうにかなること=まず自分で何とかしてみる

自分でどうにかなることは、まず自分で何とかしてみます。

結果は、出来事が「どうにかなるか」ではなく「何をしたか」なので、できないときにはやり方を変える必要がありますよね。


②自分と相手でどうにかなること=できることに取り組んでから祈る

次に、相手がいることは自分のできることは全て取り組みます。

もちろん、相手の話を聞いたり思いを汲み取ったりも含めてです。

ですが、ここは相手があること。

物事が良くなるように仏様に祈ることにします。


③どうにもならないこと=とにかく祈る

そして、どうにもならないこと。

どうにもならないことに悩んでも仕方がないのですが、それでも悩んでしまいます。

人間の力でどうにもならないことは、仏様に祈るのが1番ですね。

そして、結果を受け入れる心の準備をしておきましょう。


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参考にした本と関連ページ

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どんな命も花と輝け 廣中邦充
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ブッダが死ぬ前に繰り返し説いた 悩みに強くなる考え方 鳥沢廣栄
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超訳 仏教の言葉 鳥沢廣栄
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